期待の国産車なのになぜ? トヨタ新型スープラがアメリカを発表の場に選んだワケ (2/2ページ)

アメリカはクルマの背景を詮索せず現行の質を重視する

 豊田章男社長がデトロイトモーターショーで語った思い出話に出てくる4代目になると、直列6気筒エンジンを搭載しながらも、89年に復活を遂げた日産のスカイラインGT-R(R-32)を意識した操縦性の高さを求めてきた。競技の場面では、国内のGTに出場したり、あるいは昨年のル・マン24時間レース制覇につながる競技用ハイブリッドシステム開発に用いられたりするなどもした。

 2002年に4代目が生産を終了したあと17年もの空白期間をもっての再登場は、ある意味で唐突な印象もある。また米国は、全般的にスポーツカーに対する一定の市場は継続的に存在する。今回のスープラがトヨタ独自の開発ではなくドイツBMWとの共同による車種であり、Z4との差別化も含め、米国のほうが出自を論議される機会も少ないのではないか。少なくとも、商品に魅力があれば背景をあまり詮索しないおおらかさが米国にはある。

 ホンダNSXが米国で生産されているように、またロードスターも米国あっての開発であるように、米国はスポーツカーを軟着陸させるのに適した市場といえるだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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