トヨタ車の多くがメーカーシンボルではなく車種独自エンブレムを採用するワケ (2/2ページ)

欧州とアメリカでも考え方は異なる

 米国は国内市場が主力であり、やや状況は異なるが、GM(ゼネラルモーターズ)は複数ブランドがあるため、キャデラックやシボレーにそれぞれロゴがあり、かつシボレーのなかでもコルベットはクルマ独自のエンブレムを誇らしげに取り付けている。

 これに対し、欧州ではメーカーロゴをラジエターグリルに取り付け、メーカーとしてのブランドを主張する方式だ。欧州の各車は、陸続きで他国のクルマと競争してきたため、グローバルカー時代を先取りしていたといえ、メーカー間の競争が厳しかった。また車種構成も、近年でこそミニバンやSUVが加わったことで多様になったが、元々は大中小の区別しかないような取り組みであった。数字を車名とするあたりに、それが現われている。

 昨今、世界の市場で販売競争が激化する時代には、メーカー間競争が主戦場となり、海外を主力とする国産車はトヨタでもメーカーのエンブレムを使う。一方で、ことに国内市場を重視するトヨタ車や、軽自動車、あるいは国内が主力の小型車などは、車両ごとのエンブレムで、各車の商品性を明らかにしようとする傾向になるのだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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