軽自動車クラスを超えた技術を満載する新型日産デイズのメカニズムに迫る (2/4ページ)

スマートかつ上質な乗り味で軽の既成概念を打ち破る

 新型デイズはプラットフォームが一新された。室内空間を拡大するためにホイールベースが伸長され、エンジンやサスペンションの搭載レイアウトが大幅に変更された。

 一般的には、ホイールベースの伸長で室内空間が拡大するほか、各席乗員の着座位置や、各操作系のレイアウト、視界特性などの設計自由度が高まるというメリットがあるが、ボディやシャシーのねじれ剛性が低下したり、騒音が侵入しやすくなることもある。操縦安定性の面では、直進性が高まり、前後方向の車体の揺れを抑えやすいが、サスペンション全体の剛性を高めるなど、シャシー系のチューニングが必要になる。

 そこで新型デイズでは、サスペンションを一新した。フロントには従来型と同じマクファーソンストラット、2WD車のリヤには新しくトーションビーム、4WD車には従来型と同じトルクアーム式3リンクとなっており、ダンパーの容量を拡大し、高応答バルブやリバウンドスプリング(フロント)、ウレタンバンプストッパー(リヤ)などを採用することにより操縦安定性を高め、乗り心地を向上させている。2WD車のリヤサスペンションは、トーションビームの構造を変更することでハブ取り付け面の強度を高めた。また、トーションビームの取り付け高さを抑え、さらにダンパーの取り付け角度を最適化することで、荷室空間を拡大している。

 そして、操縦安定性の確保という点で重要となる操作系についても、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダルに新機構を採用している。ステアリングは、プロパイロットのために自動制御されることもあり、これまで以上に高い精度が要求される。そこで操舵に対してリニアに応答するブラシレスモーター式のEPS(電動パワーステアリング)を採用している。

 ホイールベースを伸長したことによって最小回転半径は大きくなったが、ステアリングギヤ比をクイック化することで、従来型同様の取りまわし性を確保している。交差点での右左折後に発生する「ステアリングの戻りの悪さ」に関しても、戻り時の回転角度や速度を最適化することで、自然なタイミングで中立位置に戻るよう制御している。そのほか、ステアリングの高さを調整するチルトステアリングの調整範囲を拡大した。チルト調整時にはコラム部分をがガクンと下がらないよう、スプリングで支える構造とし、調整操作をしやすくしている。

 そのほか操作系では、シフトレバーの操作方向を水平方向に近づけることで自然な動作で操作できるようにしている。とくにPレンジから下方向へのシフト操作がしやすくなっている。またシフトレバーがシート側に突出しないため、前席左右間のウォークスルーもしやすくなり、利便性や快適性が向上している。

 運転席からの視界に関しては、ホイールベースの伸長によってダッシュボードまわりのスペースを拡大しながら、フロントピラーを極力後方に配置することで、前方視界の視野角を拡大。フロントノーズの前端とフロントガラスから見える見切り部までの距離は約300mmとなり、車両感覚がつかみやすくなっている。

 ファーストカーとしてのパフォーマンス向上を目指したデイズは、クルマ全体の質感を高めることに注力している。とくにボディでは遮音・防音性能にこだわった設計が随所に採用された。

 軽自動車の場合、ボディサイズがコンパクトであることから、エンジンやタイヤといった騒音源から近い位置に乗車することになる。それゆえ騒音対策が重要となるが、音や振動を抑えるために吸音材や遮音材を数多く装着すると、車両重量が増えてしまい、走行性能はもちろん燃費にも影響する。そこで、上級クラスを含む登録車で使われている騒音解析技術や騒音対策を導入した。前席〜後席間の会話の明瞭度を従来型より大幅に高め、コンパクトクラスのクルマに匹敵する静粛性を実現している。

 そのほか、ボディ設計では、空力性能も高めている。また、フロントバンパー下のフロアにエアストレーキを装着。フロントバンパーの空気抵抗も低減し、燃費性能を向上させている。


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