アグレッシブな見た目とオンロードの快適性の両立をもつ
ヨコハマタイヤのSUVタイヤブランドと言えば「ジオランダー」だ。1996年に登場以来、さまざまなラインアップが投入されており、今では「アドバン」と並ぶヨコハマを代表とするブランドへと成長と遂げている。
現在、世界的にクロスオーバーSUVブームで、これまでのこの手のジャンルにまったく見向きをしなかった自動車メーカーが次々とニューモデルを投入している状況である。ただ、かつてはクロスオーバーSUVであることが“個性”だったが、これだけ選択肢が増えると、ユーザーも“プラスα”を求めるように。
それはタイヤに関しても同じだ。たとえば、SUV用タイヤはオフロードでの性能が大事だが、最近のSUVユーザーはセダン/ハッチバックなどから乗り換える人が多く、走行シーンはオンロードが主体だ。そのような人にはこれまでの常識は通用しない。同じジオランダ―でも使用用途や嗜好に合わせてさまざまな性格のラインアップが増えるのは当然の流れだろう。たとえば、オンロード志向の強い人には「ジオランダーA/T」、オフロード志向の強い人には「ジオランダーM/T」がラインアップされるが、これら商品は世代交代ごとに性格がより明確になっているのも事実だ。
ただ、人間は“贅沢”で“欲深い”生き物である。いい物を手に入れると、次にはもっといい物を求める。すると、ひとつの性能では満足できなくなることに気が付く。スポーツタイヤブランドであるアドバンが運動性能だけでなく快適性/環境性能とトータルバランスを気にするようになったのと同じように、ジオランダーもマルチな性能が求められるようになった。それが今回紹介する「ジオランダーX-AT」である。
じつはクロスオーバーSUV人気に後押しされ、オフロードタイプSUVやピックアップの発売も順調に伸びているが、昔のSUVブームと違うのは本格的なオフロード走行を楽しむのではなく、その雰囲気を楽しむ「オフロードカスタム」が主流である。そこで求められる性能は「見た目はアグレッシブ」、「走りは快適」である。つまり、現在発売中のラインナップで例えるならば、見た目はオフロード志向の「ジオランダ―M/T G003」、走りはオンロード志向の「ジオランダ―A/T G015」を一つのタイヤで成立させる事だった。
見た目はザ・オフロードタイヤと言った雰囲気で、トレッド/サイドウォール共にワイルドなデザインを採用。ちなみにサイドブロックはインとアウトでデザインが異なり、大きなブロックがアグレッシブさを演出する「大型ブロックタイプ」とラグ感が強くアメリカンなイメージを演出する「ラグタイプ」を嗜好に合わせて選択可能だ。ちなみにサイドブロックは意匠性のみならず路面からの衝撃からのタイヤ保護、オフロードのトラクション性能確保と機能性もシッカリと備える。
トレッドパターンは完全新設計でソリッドブロックをオフセット配置することで強度とグリップ、静粛性を向上させる「アグレッシブセンターブロック」、左右は大小2種類のブロックの交互配置で高いエッジ効果を生む「ダイナミックショルダーブロック」、サイプと細溝を連結させ多様な路面でのトラクションを確保する「コンビネーショングルーブ」、排土/排石/排雪性能を向上させる「ストーンインジェクター」を採用。ちなみにブロックの間にはオンロードでの操安性や耐偏摩耗性能に役立つブリッジも配置されている。
コンパウンドは耐偏摩耗性と耐カットチッピング性能を向上させるために。ジオランダ―M/T G003のトリプルポリマー採用「オフロードコンパウンド」を採用、ピッチバリエーションはジオランダ―A/T G015のピッチ数/配列を採用するなど、両タイヤの技術の水平展開も行なわれている。