【実用車なのにナゼ羽根がついてる?】スポーツカーじゃなくても空力パーツが装着される理由 (1/2ページ)

燃費向上や直進安定性を高めるために効果を発揮している!

 エアロパーツというと、レーシングカーに使われているドデカいリヤウイングを思い浮かべるかもしれない。そうした空力デバイスの狙いはダウンフォース(クルマを路面に押し付ける力)を生み出すことで、具体的には高速コーナリングを可能にするのが狙い。空気抵抗は速度の二乗で大きくなるという話を聞いたことがある人も多いだろうが、高速域で効果を発揮するのがエアロパーツというイメージもある。

 スピードを出すといっても、日本国内ではせいぜい120km/h、街乗りでは60km/h程度しか出さない実用車に、エアロパーツを付ける意味はないように思える。ファッション的な要素であって、走りには関係ないと思ってしまいがちだ。まして、ダウンフォースというと空気抵抗とトレードオフの関係というイメージもあるから、ローパワーの実用車にエアロパーツを付けることは加速を遅くするのでは? とも思ってしまう。しかし、そうじゃない。

 軽自動車やハイブリッドカーなどの実用車であっても、空力性能は重要な時代だ。なぜなら、エアロパーツはダウンフォースを生むだけが役割ではないからだ。たとえば、市販車に装着されているルーフスポイラーの役割はダウンフォースを生むというよりは、整流効果を考慮していることが多い。基本的にボディに沿った空気の流れが、ボディ後方で収束する位置を遠くにするほど空気抵抗は減るものだが、市販車のルーフスポイラーはそうした役割を果たしていることが多い。

 また、ダウンフォースというのはボディを押し付ける力を生み出すことだが、似て非なる概念として「マイナスリフト」がある。こちらはボディが浮き上がろうとする力を空力デバイスによって減らそうというアプローチで、うまく設計できれば空気抵抗を増やさずに、ボディをピシッと路面に吸い付かせるような効果を発揮することもある。

 実用車で空気抵抗を増やしたくない理由は、燃費の悪化につながるからだ。ハイブリッドカーなどでは空気抵抗係数の小ささをアピールすることもあるが、さまざまな抵抗を減らすことは燃費改善の基本となるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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