【試乗】BMW2シリーズにクーペセダンが登場! ライバル多数の2Lターボ+4WDを積むM235iの走りを徹底チェック (2/2ページ)

ライントレース性とトラクションにはさらなる熟成を望みたい

 室内に乗り込むとルーフライナーまでブラックに統一されたインテリアカラーがスポーティで、液晶のメーターや皮巻きでグリップの太いステアリングホイールもBMWのMスポーツモデルとして統一されている。エンジンを始動すると回転が瞬間的に吹き上がり触媒を活性化させつつエモーショナルなサウンドが運転心をかき立てる。

 では走りだそう。ドライブモードはエコ、コンフォート、スポーツから選択可能。スポーツモードを選ぶとサスペンションのダンパーがハードに固められ、ステアリングがクイックになり、シフトスケジュールも変更される。加えて排気音もより迫力のある音色に切り替わる。

 ちなみにローンチコントロールを作動させるには50km以上を走行した後にDSCをオフにし、シフトセレクターを左に押してSポジションにしなければならない。今回は試せなかったが、ゼロ発進加速計測では威力を発揮するだろう。AT仕様でローンチコントロールを備えるのは珍しいのだ。

 一方、エコモードでエコ・PROを設定すると惰性走行(コースティング)も可能になる。25〜160km/hでパドル操作とアクセルワークでコースティングでき高速燃費に大きく貢献するだろう。

 コーナー部分をスポーツモードで攻めるとステアリングレスポンスがクイック過ぎてライントレース性に落ち着きがない。さらにパワーをかけるとトランスファーとトルセンデフのマッチングがよくないのかスムースにトラクションがかからない。このあたりはランエボやAMGに一歩及ばない。

 FFベースの4WDスポーツとして新しい領域に踏み入れたBMW M235i xDriveはFRのBMWを愛するユーザーにはしばらくの間敬遠されるかもしれない。だが全天候型でスポーツ性を高く維持するには今後4WD化は避けて通れない。ハンドリングがさらに洗練され優れたドライバビリティが備わって走り好きなBMWユーザーを惹き付けることができるかどうかが成功への鍵となる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報