バカ売れの軽自動車が実はピンチ! 電動化の流れに乗れない事情と生き残り策とは (1/2ページ)

軽の価格帯でストロングハイブリッドは難しい

 2019年度の軽自動車の販売台数は185万5967台、登録車は318万2760台だから、新車の3割以上は軽自動車となっている。ちなみに、2019年3月時点での乗用車の保有台数をみると、3ナンバー(普通車)が1926万台、5ナンバー(小型車)は2017万台、軽乗用車は2232万台。乗用車でいうと3台に1台は軽自動車となっている。

 そんな日本の自動車市場において欠かせない存在といえる軽自動車だが、その未来が明るいとばかりはいえない。とくに、ここ数年の世界的な電動化ムーブメントは軽自動車にとって逆風にも見える。日本一売れている軽自動車、ホンダN-BOXは純粋なエンジン車である。

 スズキの軽自動車には「ハイブリッド」と名乗っているモデルもあるが、メカニズム的にはISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を用いたマイルドハイブリッドであって、減速エネルギーの一部を回生して、加速時にアシストとして利用するというレベル。EV走行ができるようなハイブリッドではなかったりする。

 マイルドハイブリッドも電動化ムーブメントでは重要な役割を果たすといわれているが、トヨタ・プリウスに代表されるストロングハイブリッドのモデルほどの燃費改善効果は持たない。では、軽自動車でEVモードを持つようなストロングハイブリッドはあり得るのかといえば、疑問だ。ストロングハイブリッドはエンジンで発電するシリーズモードを持つことが特徴となるが、つまり発電用と走行用の2モーター式ハイブリッドである必要がある。

 マイルドハイブリッドのISGであれば、従来のエンジン車が使うジェネレーター(発電機)から少々コストアップするくらいで済むが、ストロングハイブリッド用の2モーターシステムというのは軽自動車に載せるにはコスト高なシステムとなる。さらにEV走行を可能とするには、それなりに出力のあるバッテリーも必要だ。こちらもコストアップ要因であり、ストロングハイブリッドの軽自動車を実現するのを難しくしている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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