運転も動きも特殊すぎる「連節バス」! 横浜の新名物に「バスオタ」が乗った

観光客の利便性向上のために連節バスが活用される

 横浜市交通局は2020年7月23日からの運行開始に先立ち、7月22日に横浜ハンマーヘッドCIQホールにおいて、“BAY SIDE BLUE(ベイサイドブルー)”運行開始記念式典を林 文子横浜市長などが出席して行われた。

 ベイサイドブルーは、横浜駅東口バスターミナルを出発し、パシフィコ横浜、カップヌードルミュージアム、ハンマーヘッド入口、大さん橋など、横浜ベイエリアの観光スポットをめぐりながら山下ふ頭が終点となり、また、山下ふ頭を出発して中華街や赤レンガ倉庫前バス停を通り、横浜駅改札口前が終点となる路線バスのこととなる。注目すべきはベイサイドブルーの車両が、日野といすゞが共同開発した国産初の連節バスを採用しているところである(導入車両は日野ブルーリボンハイブリッド連節バス)。連節バスを導入することで輸送人員の増強をはかるという狙いもあるとのことである。

 横浜市営路線バスの一般的なボディのカラーリングとは異なり、空と海をイメージさせるブルー単色づかいとなっている。車体デザインはベイサイドブルーの停留所にも反映され統一感がもたらされているとのこと。

 連節バスは大型トレーラーのようなけん引ではなく、車体の途中に蛇腹形状の連節部を持つので、一般路線バス同様に大型二種免許で運転は可能。しかし、運転特性は明らかに異なるので、交通局内で乗務員のなかから募集をはかるなどして22人を選抜し、局内で運転研修を行ったとのことである。「ステアリングを素早く切るのがコツ」と会場で話を聞くことができた。一般公道を走ることが可能な長さの上限となる全長12メートルをはるかに超えており、関係各所の特別な許可などを受けて運行しているため、細心の運転技量で運行が行われることとなる。

 式典終了後に一般道路で特別コースを設け、式典出席者向けの試乗が行われた。メディア枠の試乗に参加すると、連節部分にカメラを構えたメディア関係者が集中していた。交差点を曲がる時などに、連節部分の床が回転するのを撮影したり、回転する様子を真剣に見つめていた。連節部分から前に座っていると、当然ながらリヤエンジンバスなのでエンジンが一般のバスより遠くにあるので、車内が静かになっているのに気がついた。試乗コース沿いには、一般のバス愛好家が多数集まり、ベイサイドブルーの走行風景を撮影していた。

 “バス愛好家”を自称する筆者は、さっそくベイサイドブルー車内での特等席(別名オタシート)を探した。オーソドックスな特等席は扉がある側の最前席となるが、この連節バスではその部分には座席がないし、いまどきはあっても新型コロナウイルス感染予防のため座ることができない。そこでさらにベストシートを探すと、連節部分のすぐ後ろに後ろ扉との間にポツンとシングルシートがひとつあるのを発見。ここから連節部分も良く見えるので、このバスならでは特等席といっていいだろう。

 地元愛の強い横浜だからなのかもしれないが、桜木町駅前で式典会場へ向かうバスを待っていると、お年寄りの夫婦が「連節バスは明日から走るんだよね」と話していた。会場について車両撮影をしていたら、幼い子どもを連れた夫婦が「この連節バスは今日から運行開始ですか?」と聞かれた。市民の間での知名度は運行開始を前にしてすでに抜群のようであった。市民に愛され、観光客の利便性向上のためにこれからベイサイドブルーは横浜ベイエリアで活躍していくことになる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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