かつては男のSUVの象徴! いまどきSUVから「カンガルーバー」が消えたワケ

似合うクルマが減ってしまったのも減少の理由

 クロカンのドレスアップの定番がグリルガードだ。カンガルーバーとも呼ばれ、パイプを使ってガッチリとフロントまわりを守るように作られている。ハードなイメージを引き立てるアイテムとして、1980年代から1990年代にかけてヒットし、クロカンだけでなく、ワゴン用も発売されていた。またアフターだけでなく、純正状態でそれ風のものが付いていたりもした。

 ちなみに、カンガルーバーと呼ばれる理由はオーストラリアで、カンガルーと衝突しても車体に損傷のないようにするためのものだから。約80km/hでぶつかっても大丈夫という基準もあったりする。

 最近はこのグリルガードをあまり見かけなくなったが、なにか理由があるのだろうか?

 それにはいくつかあって、まずは単純に似合うクルマが減ってしまったということ。もともとクロカンのワイルドさを引き立てるものだけに、SUVブームの昨今では、似合うクルマが減ってしまうというのは仕方がないとも言える。

 もちろん衝突安全性もデザインに大きく関わってくる時代だけに、バーが別途付いているような形状は国際的に許されていないため、これも減少の原因だ。ただ国内の法律では、すべての角を丸くするという規定が新車であるだけで、アフターパーツについては適用されていない。

 ただ、人間と衝突した場合に、凶器となるのは確実なだけに、名の通ったブランドでは以前のようなグリルバーは作っておらず、自主規制という形にはなるが、コンプライアンスに定めて守っているところが多い。バーはあっても、バンパーの下に付く小振りなスキットバーと呼ばれるタイプがほとんど。実際、今売られているゴツいグリルバーは海外製ばかりだ。

 スタイルには流行があって、それに合わせてパーツも売れたりするが、グリルガードは流行り廃りだけでなく、安全性と大きく関わるという点でほかには類がないと言っていい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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