鍵は「遊び心」と「ハイブリッド」! 王者ダイハツがスズキに首位を明け渡した「軽自動車」市場の異変 (1/2ページ)

2020年は王者ダイハツを抜きスズキが首位を維持

 2020年もあと数カ月となった。今年は春先からの新型コロナウイルス感染拡大もあり、「気がつけば年の瀬」というひとも多いはず。2020事業年度締めでの上半期末となる9月の新車販売台数統計を見ていると、まさにWITHコロナの時代になってから、軽自動車販売にある異変が起きていることに気がついた。

 全軽自協(全国軽自動車協会連合会)統計によると、2020事業年度締め上半期(4月~9月)の販売台数でスズキがブランド別新車販売台数でトップとなったのである。そこで改めて2020年に入ってからの統計を確認すると、2020年1月から9月までの累計販売台数でもスズキがトップとなっている。

 さらに月別販売台数でダイハツがスズキに勝っているのは、1月、2月、4月、7月となり、“5勝4敗”でスズキが勝っているのである。年間統計が出ている2019年ベースで過去5年、つまり2014年まで遡り、全軽自協で公表している暦年・事業年度締めでの各年間販売台数および各事業年度締めでの上半期販売台数を見ていくと、過去5年でスズキがダイハツに勝っているのは、2014年暦年締め年間販売台数と、2014、2015、2018事業年度締めでの上半期のみとなった。2014年あたりでのスズキは初代ハスラーを発売し、これが大ヒットして販売台数の上積みに成功した結果となっている。

 つまり、初代ハスラーのような“サプライズモデル”がない限りは、ダイハツ常勝傾向が続いてきたのに、ここへきてスズキに抜かれる場面が頻発してきているのである。

「最近のダイハツは元気がない」とは、新車販売事情に詳しいひとの間ではよく話されるようになってきたこと。例えば2019年7月にフルモデルチェンジしたタントは2020年1月からの累計販売台数で、スズキ・スペーシアに比べ販売台数が8000台ほど少ない。前年同期、つまり2019年1月から9月までの累計販売では、6月までタントが末期モデルであったにも関わらず、7000台ほどスペーシアより多く販売している。

 事情通氏は「スペーシアには、ギアという派生モデルがあります。さらに搭載エンジンはハイブリッドとなります。一方でタントは新世代プラットフォームなどを採用していますが、スペーシア ギアのような派生モデルもないですし、ハイブリッドという消費者をひきつける“飛び道具”がないので、いまひとつ元気のない販売状況となっているといえるでしょう」と分析した。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報