クルマのライトでキラキラ反射する「カレット舗装」とは (2/2ページ)

水はけが悪くなるなど課題もそれなりにある

 ほかにも、ガラスを細かくし過ぎると、ガラスには吸水性がないため、雨天での水はけが悪化することになる。道路の水はけについては、高速道路の一部で排水性に優れたアスファルト舗装が施され、その効果は抜群であり、前を走るクルマの水しぶきが上がりにくくなって、前方視界を確保しやすくなる。これは安全運転にとって不可欠だ。

 ガラスは天然資源であり、環境負荷は小さいが、混ぜるアスファルトは石油製品であり、ガラスの混ざったアスファルトのリサイクルなど処分方法は、今後研究を要するともいわれる。

 交通量の少ない道路に街灯を設置するにはそれ相応の予算が必要であり、全国津々浦々に街灯を整備することは必ずしも合理的ではない状況もあるだろう。しかし交通安全は命に関わる重要な第一要件であり、カレット舗装は周辺状況の注意喚起に一役買うことになる。またクルマだけでなく、見通しの悪い交差点などでは、歩行者や自転車に乗る人などにも、路面がキラキラ光ることで交差点であることを改めて喚起し、出合い頭での接触や衝突に対し注意を払うよう促すことにも役立つだろう。

 そういう危険個所などには役立つ一方、やたらにカレット舗装を使っては、目に鬱陶しく、かえって不快な道路ともなりかねない。

 ハイビームを利用することが安全運転の一助であることを運転者へいっそう啓蒙し、車両では対向車などへの防眩を抑えロービームに自動的に切り替えるオート機能の車載がさらに促されることが期待される。交通安全は、クルマの装備だけでなく、道路設備だけでもなく、運転者の安全意識も含め相互の相乗効果によってより高められるものであるはずだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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