ハイブリッド車は巨大な駆動バッテリーを積むのに「12V補機バッテリー」があがると動けなくなるワケ (2/2ページ)

駆動用バッテリーが「あがる」と復帰は困難!

 鉛にしてもニッケル水素やリチウムイオンにしても、新品バッテリーが満充電になり使えるようになるためには、ゆっくり時間をかけて充電し、なおかつしばらくそのまま保存して、バッテリーが落ち着くのを待たなければならない。鉛バッテリーは容量も少ないので、それほど手間は掛からないが、上記の手順がバッテリーを大事に使う要になる。

 鉛バッテリーより容量の大きい駆動用バッテリーを一度上げてしまうと、新品の際の手順と同じようにゆっくり充電し、バッテリーを回復させなければならず、鉛バッテリー以上に手間と時間を要するのである。

 そこで、バッテリーあがりをしてしまうような長期間HVに乗らない状況が生じると仮定したら、復帰しやすく、また場合によっては買い替えの検討をすることも考えると、高価な駆動用バッテリーより鉛バッテリーで事が済むほうが、手間も費用も掛からずに済むのである。

 同様のことは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)でもいえる。ただしこれらのクルマは、自宅などで外からの充電ができる車種であり、またスマートフォンなどを使って充電管理ができるので、12V鉛バッテリーをあげてしまわない手法や管理が将来的に構築されていけば、補機バッテリーのあがりで出掛けられないといったことは起こらなくなるのではないか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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