「技術の日産」を堂々名乗るにはワケがある! 他社の追随を許さないクルマの「圧倒的技術」4つ (2/2ページ)

理想的なエンジンやレイアウトなどでも他社を圧倒する

3)VCターボエンジン

 自動運転といえば一般ユーザーが想像しやすい夢のテクノロジーだが、エンジニアにとっての夢を実現させたのが、「VCターボ」エンジンだ。エンジンの特性を大きく左右する圧縮比(シリンダー容積と燃焼室容積の比)は通常のエンジンでは固定のスペックであって、可変させることはできない。しかし通常時には圧縮比を高くしたほうが熱効率に優れるし、ピークパワーを出す領域では圧縮比を下げないとノッキングが起きる。つまり燃費やパワーを決める最重要パラメータである圧縮比を自在に切り替えることは理想のエンジンにつながる要素といえる。

 そこで、VCターボエンジンではクランクシャフトとコンロッドの部分にマルチリンク機構を採用することで、ピストンの上死点・下死点位置を連続的に可変させることを可能としている。こうした圧縮比を連続可変できる機構を持つエンジンは量産ユニットとしては世界初であり、現時点では唯一のものといえる。ちなみに、日産の高級ブランドであるインフィニティのQX55などに搭載されているVCターボエンジンでは圧縮比を8:1から14:1の間で無段階に自在に変更することができ、排気量は2.0リッターで最高出力268馬力となっている。

4)プレミアム・ミッドシップパッケージ

 日産スポーツのフラッグシップであるGT-Rにも日産のオンリーワンの技術が投入されている。ニスモ仕様では600馬力を発生するVR38DETT型V6ツインターボ、雪道からサーキットまでカバーするマルチパフォーマンス4WDなど、その構成要素はトピックスの連続だが、そうしたパワートレインを最適配置しているのが、日産が特許を持つ「独立型トランスアクスル4WD」だ。エンジンはフロントミッドシップに搭載、6速DCTのトランスミッションはリヤデフと一体化したトランスアクスルとして後方に配置、そしてエンジンからトランスミッションまでをカーボンコンポジット製プロペラシャフトでつなぎ、トランスミッションからフロントデフにプロペラシャフトを戻すというレイアウトで構成されている。

 このレイアウトの凄いところは前後重量配分を最適化するというだけでなく、ボディの振動をエンジンやトランスミッションの重量で打ち消しあう設計としている点にある。パワートレインをボディダンパーとして利用するという画期的なアイデアによってGT-Rの基本は作られている。GT-Rの採用する独立型トランスアクスル4WDによるプレミアム・ミッドシップパッケージは「技術の日産」の象徴といえるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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