自動車保険のCMで聞く「事故対応力」ってなに?

初動対応のタイミングは保険会社によって異なる

 自動車保険のCMを見ていると、「自己満足」ではなく、「事故対応満足度」とともに、「事故対応力」というフレーズをよく耳にする。この「事故対応力」とは具体的にどんなことを指しているのだろう?

 業界としてとくに決まった定義はないが、

・対応の早さ

・丁寧さ

・代車手配やロードサービス

・事故解決までサポート

 などで決まると思えばいい。

 とくに重要なのは、初動対応。どの自動車保険でも、事故が起きた場合「365日24時間受付」をうたっているが、「24時間受付」と、「24時間対応」とでは、じつは大きな違いがある。「受付」はまさに連絡を受け付けるだけで、本当に肝心なのは「初動対応」。

 保険会社への連絡後に行われる、相手方への連絡、修理工場やレンタカーの手配、医療機関への確認、事故解決までの流れの説明、その他不明な点の相談などは「初動対応」と呼ばれ、この対応タイミングが保険会社によってけっこう異なる。

 たとえば、東京海上日動や損保ジャパン日本興亜、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保などの大手は、休日・夜間でも専門スタッフが初動対応にあたってくれる。

 一方、チューリッヒなどは、0時~20時までに事故受付が完了した場合、その日のうちに初動対応。さらに9時~20時に事故受付が完了した場合、担当者より1時間以内に連絡が来ることになっている。SBI損保では、平日は9時~19時、土日祝は9時~17時までしか初動対応してもらえないので心許ない(時間外は翌日対応)。セゾン(おとなの自動車保険)だと、夜間や年末年始は初動対応を行っていない……。

 なお、どの保険会社でも、事故現場にスタッフが駆けつけてくれるサービスはない。対応は基本的に電話でのやりとりとなる。

 例外的にソニー損保、イーデザイン損保、セゾン(おとなの自動車保険)が警備会社のセコムやALSOKと提携し、加入者が希望した場合、警備員が現場に駆けつけてくれるサービスがある。もっとも保険会社のスタッフではなく、警備員なので、アシストしてもらえることはかなり限られているが、「誰かに来て欲しい」というときには頼りになる。

 あとは、事故対応拠点の数や、専任スタッフの人数、提携修理工場の数や弁護士ネットワークなども、事故対応力に含まれる。初動対応後の休日相談窓口の有無なども確認しておきたい要素だろう。

 総括すると、迅速で丁寧な対応と、円満な示談と一日も早い支払い、そして一件落着になるかどうかのトータルで、事故対応力は決まるもの。事故を起こすまでお世話になることのない自動車保険だが、会社によって意外に事故対応力には差がある。

 できれば第三者機関による事故対応の満足度ランキングなどをいくつか見比べて、いざというときに頼りになる、自動車保険会社と契約することをおすすめする。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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