賛否両論の「自動運転」&「EV化」! 安全や環境対策以外に秘めた「大いなる可能性」とは (1/2ページ)

本当の意味で万人に役立つ移動手段となる可能性を秘めている

 新しい技術の可否については、さまざまな視点があり、それぞれに理由があるはずだ。そのなかで、自動運転とワンペダル操作について、期待を述べたい。

 自動運転については、レベル4や5に相当する完全自動運転の実現へは、越えるべき壁がまだたくさんあるはずだ。

 たとえば、日常的な状況での自動走行は、既存の技術でかなり実行できると考えられる。レベル2とはいえ、日産スカイラインが採用するプロパイロット2.0でのハンズフリーや、スバル・レヴォーグのアイサイトXでの渋滞中のハンズフリー、あるいは自動的な車線変更など、車載のセンサーと高精細な地図情報、そして衛星を活用した位置情報などにより、確実さと同時に、使用中の安心感も覚えさせる。

 それでも、レベル4以上に到達しないのは、まだ緊急事態での状況認識や、それに対処する操作の速さなどにおいて、人間の能力の水準に達していないためだ。それほど、緊急事態における人間の瞬間的な判断や行動の素早さは、日常では気づかないほど高いものである。

 ほかにも、消費者の理解が得られるか、法律面での責任問題、あるいは損害保険の適用の仕方など、検討すべき課題は、技術だけでない側面を持つ。

 それでも、私が自動運転に期待するのは、現在のクルマが基本的に健常者のためのものであり、障害を持つ人や高齢な人が一人で自由に移動する水準に達していないからだ。完全自動運転が実現すれば、たとえば目の不自由な人もはじめての場所へ一人で出かけることができるようになるだろう。それは、万人が生活を自立できることにつながり、また障害を持つ人や高齢の人を介護、あるいは介助してきた人の負担を減らすことにもつながる。

 自動運転によって、クルマが本当の意味で万人に役立つ移動手段となるのだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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