ワイヤーやシャフトで「繋がっている」部分は少ない! ゲームコントローラーのようなクルマの「バイワイヤ」技術とは (1/2ページ)

もっとも古くから存在する自動化システムは変速機だ

 いよいよ自動運転が具体化される時代になってきた。いうまでもなく、自動車を走らせるためドライバーが行ってきた数々の操作を、機械(システム)が肩代わりすることで、文字どおりドライバーによる運転操作が不要のシステムであることは広く知られるとおりだ。

 さて、操作を機械に任せるうえで、もっとも難しい部分がドライバーの目(視覚情報)と判断(頭脳)の領域だ。これらについては、自動運転がテーマのときに詳しく説明する必要があるが、それ以外の運転要素、加減速(アクセル操作)、変速(シフト&クラッチ操作)、制動(ブレーキ操作)、転舵(ステアリング操作)について、機械が肩代わりするメカニズムについて触れてみよう。

 これらは、過去から現在にいたる自動車史のなかで進化を続けてきたものばかりで、もっとも古くから存在する自動システムが変速機である。いわゆる自動変速で、現代の主流であるトルクコンバーター式のトランスミッションは実用化されて70年以上の歴史がある。働きについては、改めて説明の必要もないだろう。

 クラッチ操作を省いたマニュアル操作のトランスミッションもある。フルオートマチックではないが(選択モードもある)、手元のスイッチを操作するだけでシフトアップ、ダウンができるミッションのことだ。

 1980年代、レースで試験投入をしたポルシェPDK方式が先駆となる方式で、デュアル(ツイン)クラッチ機構を備えたミッションを持ち、ドライバーのシフトアップ/ダウン(基本的にはステアリングのパドルスイッチ)の操作に対し、瞬時にクラッチを断続してギアを切り替えるシステムである。通常のマニュアルシフト車よりクラッチの断続時間が短く、エンジンパワーを有効に伝達できるため、今ではモータースポーツで標準となったセミマニュアル方式である。

 ステアリングは、進行方向を決める転舵操作は人間がおこなわなければならないが、人間の力(腕力)をアシストする機構としては、やはりパワーステアリングが古くから存在する。エンジンを動力源とする油圧補助方式が一般的だったが、エンジン負荷の軽減、システムの小型化を追求した結果、電動パワーステアリングシステムが登場した。初期のものは、操舵の実感覚に乏しく、ゲーム機のコントローラーを操作しているような感触もあったが、現在はそのあたりも改善され、路面インフォメーションが伝わるシステムとして実用化されている。

 ブレーキもステアリングと同様、踏力を補助するシステムとして倍力装置が古くから実用化されている。エンジンバキュームを利用したマスターバック方式はよく知られているが、最近ではABSの加圧ポンプを利用した制動も可能で、停止を目的とした制動では、すでに自動停止が可能な状態だ。ただ、ブレーキ操作は旋回時の荷重移動のため使うドライバーもいるため(本来的に正しいブレーキの使い方のひとつだが)、このあたりを目的とした制御、作動はまだ具体化していない。


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