なぜ存在? 輸入車の「廉価グレード」に表記される「受注生産」の中身とは (2/2ページ)

ラインアップが多様化している輸入車では事情が複雑

 これが、同じ国や地域のなかではなく、国境を越え、また海を越えての輸出入車扱いとなれば当然、陸送や船便などでの物流期間を考慮することになる。そうなると、見込み台数の設定もかなり余裕を持って行う必要が出てくる。別の視点では、最近の新車は高級ブランドを筆頭に、同じブランドで多モデル化が進み、さらにエンジンや電動化によるパワートレインの多様化もあり、見込み台数と発注台数をマッチさせることが難しくなってきた。

 そうしたなかで、たとえば価格が低い、いわゆる廉価版で見込み台数を作成することが難しいと思われるモデル・グレードの場合、他のモデル・グレードよりも納車時期が遅くなることもあり得ることになる。

 こうした状況は、通信のコネクティビティによる情報解析の精度が上がることや、AI(人工知能)を活用した、いわゆる工場のIoT(インターネット・オブ・シィングス)化に加えて、メーカーと部品メーカー、またメーカーと販売店の間の受発注システムの最適化などによって、最近はどんどん改善されてきたと思う。

 ただし繰り返すが、メーカーと販売店の関係性や、発注システム自体の性能によって、受注生産モデルに対する考え方は、メーカーによって、または取り扱う販売先の国や地域のさまざまな状況に応じて差があることを理解して頂きたい。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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