【試乗】欧州ナンバーワンSUVは伊達じゃない! 新型キャプチャーは国産車を脅かす中身だった (2/2ページ)

特筆すべきは走りの上質さ!

 では、いよいよスタートボタンを押してみます。今回、新型キャプチャーに搭載されたのは、新型ルーテシアでも好評の1.3リッター直噴ターボエンジン+7速EDC。ですが最高出力はルーテリアより+23馬力の154馬力/5500rpm、最大トルクは+30N・mの270N・m/1800rpmと高められて、デュアルクラッチトランスミッションも、先代の6速から7速へと多段化されています。

 走り出すと、発進直後からしっかりした踏ん張り感と、ボディの塊を感じさせる重厚感がヒシヒシと伝わってきました。同時に、適度な手応えがありながら、センターが明確でクルマとの対話がしやすいステアリングフィール。先代はどちらかといえば軽快感が持ち味でしたが、新型は上質で厚みのある加速フィールが前面に感じられて驚きました。今回、ルノー・日産・三菱のアライアンスで新設計されたモジュラープラットフォーム「CMF-B」が採用されたことで、パワートレインの高出力を受け止め、サスペンションのしなやかな動きを引き出す包容力、柔軟性がより高まったとのこと。それが、走り始めた直後から、こうした走りの質感、一体感をしっかりと感じさせているのではないでしょうか。

 速度を上げていくと、幹線道路などの中速域では全体に余裕がたっぷり。ストップ&ゴーを繰り返すなかでも、自然で豊かなフィーリングを楽しむことができます。高速道路に入り、80km/hくらいからの再加速や追い越し加速を試してみても、グイグイとトルクが湧き出てくる感覚。クルージングに入れば悠々としていて、これならどんどん遠くまで走って行きたくなりそうです。

 乗り心地では、前席よりも後席の方がやや弾むような感覚ではあるものの、大きな凹凸を一発で収めるところはさすが。コツンと遠くの方で音が鳴っているようで、ここでも目に見えない質感の高さを実感できました。

 あえて難点を見つけるとすれば……。新型キャプチャーには「オートブレーキホールド」機能が採用されました。これは、赤信号などの停車中にブレーキペダルから足を離しても停止を保持してくれて、ラクだし安全なのですが、信号が青になって再発進しようとアクセルペダルを踏むと、やや加速までのタイムラグが気になるかな、といったところ。

 また、最小回転半径は5.4mでプジョー2008と同じなのですが、Uターンをしたところ思いのほかハンドルが切れないかな、という印象。18インチの大径タイヤを履いているからかもしれません。

 でもそのほか、走行モードが選べる「MULTI-SENSE」でスポーツモードやエコモードに変えると、ガラリと違った印象の走りが楽しめるし、ボンネット先端の車幅感覚が掴みやすく、路肩に寄せたり狭い道を通過するのも運転しやすいと感じました。

 そして、新型ルーテシアで登場した先進の運転・駐車支援システム「ルノー イージードライブ」が新型キャプチャーにも搭載され、新たに「レーンキープアシスト」といった新機能も追加されています。ハンドル支援操作はたまに強引なところもありますが、こうした機能が初めてという人でも使いやすいでしょう。

 さらに、近年はなかなか獲るのが難しいという、欧州の新車アセスメントプログラム「ユーロNCAP」でも、最高ランクの5スターを獲得。ステアリングヒーターや前席シートヒーター、世界初のサブウーファーを搭載したBOSEサウンドシステムなど、快適装備も安全装備も驚くほどの充実度です。しかも燃費だって、WLTCモードで17.0km/Lと、国産コンパクトSUVにも負けていないというからすごい!

 こうして新型キャプチャーは、これぞ欧州NO.1SUV、という本気をまざまざと見せつけてくれました。じつはルノーは、トヨタで言うところの「TNGA」のような改革を、デザインから走りまで全ての開発過程において推進してきたのだとか。オシャレで、使い勝手がよくて、燃費も安全性も走りの楽しさも持っている、とんでもないコンパクトSUVが爆誕です!


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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