新車販売現場が「売りにくい」! 日本政府の「宣言だけ」の電動化施策がもたらす混乱とは (2/2ページ)

政府の思いつきに振り回されるのでは? と現場は不安視

 日産系ディーラーでは、新型ノートについてセールスマンと話をしていると、「『e-POWERではなく、一気にBEV化しても良かったのでは?』という話もありますが、BEVのリーフとe-POWERのノートを比べれば、お客さまから見れば明らかにリーフのほうが敷居は高いようです」と話してくれた。

 現場で話を聞いていると、「政府はどこまで本気なんだ」ということを心配しているようである。「いつものように、実際は『軽自動車だけ例外』などの逃げ道があるのではないか?」とか、2030年から本当に電動車しか販売できないならば、2029年式の内燃機関車を在庫として大量にストックすれば、2030年以降も販売できるのかなど、希望を述べるだけではなく、テクニカルな部分についても早めに発表してもらわないと、得意客への新車への代替え(乗り換え)アプローチもはっきりしないというわけである。

 いまの新型コロナウイルス感染予防策やワクチン接種の動きを見ても、突然何かが発表されてもその直後に変更されるなど、政府対応の迷走が続いており、これが車両電動化でも繰り返されるのではないかというのである。具体的なことがはっきりしないと、お客から問い合わせがあっても、明確に回答できないのでは、販売活動にも大きな支障を及ぼしかねないのである。

 年明け早々の北陸地方の大雪による寒波では、おもに家庭や事業所などで使っているだけでも電力供給がひっ迫して大騒ぎとなった。それなのに、クルマも大半が電気で動くようにして大丈夫なのかという声も最近ではよく聞くようになった。

「補助金つければ、みんな電動車買うから大丈夫」と、電動車だけ増えればそれでいいとでも思っているようだが、面倒くさいなあと消費者が思えば、“マイカー離れ”が加速することも起きかねない。現実味の伝わらない(とりあえず言ってみただけ)政府の動きが販売現場では不安を増大させているのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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