レクサスNXの新型が登場する! 同門ハリアーとの「違い」と「お買い得度」を考えた (2/2ページ)

ハリアーでも上質なインテリアがNXではさらに磨かれる!

 インテリアのクロスオーバーSUVとしての上級感、高級感は、ハリアーでも上級グレードになればかなりのもので、ベースグレードとは別物の世界観、プレミアム感あるものとなっている。しかし、新型NXはレクサス一流の手の込んだ仕立てに加え、先進感も一段上。

 わかりやすいのはセンターディスプレイで、ハリアーは高精細12.3インチTFTワイド静電式タッチディスプレー。新型NXは14インチとなり、ふたまわりは大きい印象=先進感を備えている(ハリアーの12.3インチでもかなり大きいが)。さらに車載の通信端末によるOTAソフトウエアアップデート機能まで装備しているのである。

 先進運転支援機能は、ハリアーでもかなり充実している。最新のトヨタ・セーフティセンスはもちろん、DCM(au車載通信機)、ヘルプネットを全車に標準装備するなど、安心感に満ちた運転、ドライブ、緊急時の対応が可能。また、調光パノラマルーフ、前後方向録画機能付きのデジタルインナーミラーの装備も特徴的だ。

 一方、新型NXは進化したレクサスセーフティシステム+を採用。プリクラッシュセーフティは交差点での支援を拡大し、交差する車両や、右折時に前方からくる対向直進車、右左折時に前方から接近する横断歩行者/自転車運転者との衝突回避も支援できるようになったほか、自動二輪車や車線逸脱してきた対向車、夜間の自転車運転者など、支援対象も拡大。

 フロントクロストラフィックアラートは、低速で交差点に進入する際に、左右から接近する車両を検知すると、カラーヘッドアップディスプレイで車両が近づいてくる方向をアニメーションで表示。ドライバーが気づきやすい注意喚起を行ってくれる。車両が接近しているにもかかわらずドライバーが発進しようとしているとシステムが判断した場合は、表示とブザーで減速を促してくれるという。また、ドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援に加え、システムが衝突の危険性が高いと判断した際に自動(被害軽減)ブレーキと操舵制御を行うアクティブ操舵支援機能も設定している。

 レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)の機能も進化。追い越しシーンでのウィンカー操作に応じた予備加速時に加え、変更先の車線に自車のセット車速よりも低い速度で走行する先行車がいる場合、車線変更のウィンカー操作に応じて予備減速を実施。それにより、先行車への急な接近を防ぎ、安心感を高めてくれるのである。さらに前方のカーブを検知する性能が向上し、カーブの大きさに合わせてより早期に減速制御。ドライバーの感覚に寄り添ったカーブ速度抑制機能に進化している。

 細かい点では、ドアのe-ラッチシステムがある。ドアのラッチ/アンラッチ機構をスイッチによる電気制御に置き換えることで、無駄な動きのないスムースなドア操作と滑らかな操作フィーリングを実現するとともに、そのe-ラッチシステムを用いた安心降車アシスト(ドアオープン制御付)を新装備。降車時、ブラインドスポットモニターのセンサーを活用し、後方からの自転車を含む接近車両などを検知。開放後のドア、もしくは降車した乗員と衝突する可能性があるとシステムが判断した場合、アウターミラー内のインジケーターを点灯させ注意喚起。それでもドアを(うっかり)開けようとした場合は、e-ラッチシステムと連携してドア開放をキャンセルする機能を世界初採用!! ブザー、アウターミラー内のインジケーターの点滅、メーターの表示、音声通知で乗員に告知してくれるのだから、降車時までの安全が確保されているというわけだ。これは世界初だけに、ハリアーには望めない先進安全機能といえるだろう。

 価格は現行型の同パワーユニットを積むHVモデルを例に比較すると、レクサスNX300hは519万円~612・7万円。ハリアー(2WD)は358万円~482万円だから、NXのほうが、ベースグレード比で約160万円も高価(装備内容が異なるのも一因)となる。新型ではその差がさらに広がるのかどうかが気になるところだが、レクサスクォリティ(走り、内外装の仕立て、先進運転支援機能、ディーラーのサービス込み)、ブランド力、世界初の装備を含む先進性に焦点を当てれば、ハリアーとの価格差、どっちがお得? という概念を超えた満足感が、新型NXは得られるに違いない。そうでなければレクサスではないといっていい。

 もちろん、ハリアーの上級グレードなら、都会派クロスオーバーSUVとして大満足できる1台であることもまた、事実である。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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