「お仕置きモード」で速く走れない! 安全のための「電子デバイス」をサーキットでオフにする理由 (1/3ページ)

安定性を高める制御が走る楽しさを妨げる

 とくにレース仕様車でなくても、自分のクルマでサーキットを走ってみようという人が増えている。いわゆる、サーキットでのスポーツランで、主催はカーショップであったりカークラブであったりとさまざまだが、占有されたコースを指定された時間内、思いきり走りを楽しめる設定となっている。

 さて、いつもその際どうしたほうがよいのか取り沙汰されるのが、2012年から新車装着が義務付けられている車両挙動安定装置(横滑り防止装置)やトラクションコントロールといった安全走行デバイスのオン/オフ問題である。と言うのは、これらの装置にはオン/オフ切り替えスイッチが設けられ、任意でシステムの作動が選べる設定となっているからで、一般的にサーキット走行時にはオフにしたほうがよい、と言われていることだ。

 たしかに、これらのシステムは、一般公道走行での安全を確保する上では非常に有効なデバイスなのだが、サーキット走行という純粋にクルマを操る楽しさをストレスなく味わおうとする場面では、必ずしもあったほうがよいとは断言できない側面を持っている。

 そもそもこれらの装置は、一般公道走行時の車両挙動を自動的に制御、安定化するシステムで、目的はアクシデントを未然に防ぐことにある。言い換えれば、これらはドライバーの操作ミス、運転技量の未熟さを補ってくれるシステムで、作動(オン)させている限り高い安定性をもたらしてくれるセーフティデバイスである。

 しかし、サーキットのスポーツ走行では、皮肉にも高い安定性を生み出す動きが、走る楽しさを妨げる要因として作用してしまうのである。


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