いわば「N」で走るような輸入車の「コースティング」機能! エンブレが効かないモードは危なくない? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■輸入車の多くに省燃費につながる技術「コースティング」が採用されている

■安全に正しく使うにはメカニズムを把握している必要がある

■日本車にはほぼ採用されていないが、広義の理解であれば備わっていると言える

明確な機能として備わっている日本車はほとんどない

 省燃費につながるテクノロジーとして、輸入車とくにドイツ車を中心に多く採用されているのが「コースティング」である。

 アウディの説明を引用すると次のとおりだ。

「効率モード」を選択して走行中に、アクセルペダルから足を離すと自動的にクラッチが切れ、エンジンはアイドリング状態になります。エンジンブレーキがかからず、穏やかに速度が落ちていくため、トータルではアクセルペダルを踏む時間が短くなり、燃料消費量の抑制につながります。

 MT車であれば走行中にシフトをニュートラルに入れて惰性で走行している状態になる。加速により得たイナーシャを最大限に活用して惰性で走ることトータルでのエネルギーマネージメントにおいて有利になり、燃費がよくなるという理屈だ。

 ただし、このモードを安全に正しく使うにはメカニズムを理解している必要がある。実際、ワインディングの下りでコースティング機能を利用すると、エンジンブレーキが効かない状態なわけだから、どんどん速度が上がってしまう。エンジンブレーキが必要なシチュエーションではコースティング機能が働かないドライブモードを選ばなくてはならない。

 もっとも通常はブレーキペダルを踏むと、コースティング機能はキャンセルされ、適切なエンジンブレーキが効くようになるので心配しすぎることはない。加速したいときはアクセルを踏む、減速したいときはブレーキを操作するというシンプルな運転をすれば問題ない。

 さて、このコースティングだが明確な機能として備わっている日本車はほとんどない。その理由はいくつか考えられるが、日本の環境を考えるとコースティングを利用できるシチュエーションは非常に限られるからだろう。

 コースティング機能が有効なのは高速道路になるが、惰性で速度を落とさずに走るには道路がまっすぐで平坦であることがポイントになる。ところが日本の高速道路ときたらくねくねと曲がっているし、勾配もきつい。コースティング機能を実装したとしても十分に利用できるような環境とはいえないのだ。

 ただし、コースティングを「走行中にニュートラルに入れる」ではなくて、「エンジンブレーキをあまり効かせない」機能として捉えると、じつは日本車の多くがコースティング的な制御をしているということもできる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報