何このオシャレセダン! ダイハツ最後のオリジナルセダン「アプローズ」は悲運のクルマだった (2/2ページ)

大ヒットにはならなかったが確実に名を残した

 スーパーリッドにばかり注目が集まるアプローズであるが、新開発された1.6リッターのHD型エンジンは、アルミ製のシリンダーブロックの採用や中空のクランクシャフトやカムシャフトなどを採用し、単体重量が100kgを切る軽量なもので、SOHCながら電子制御燃料噴射装置(EFI)仕様では120馬力を発生させるスポーティなエンジンを搭載していたことも特筆すべきポイント。

 この秘めたポテンシャルに目を付けたダイハツワークスが全日本ラリー選手権にアプローズ4WDをベースとしたラリーマシンを投入した実績もあるほどなのである。

 しかし、アプローズはデビューまもなくリコールが連続して発生。中でも燃料タンクのエア抜きの形状に不具合があり、燃料が噴出して火災が発生したという事故は新聞などでセンセーショナルに報道され、”アプローズ=火災”という不名誉なイメージがついてしまったのだ。

 もちろんメーカーは速やかに改修を行ったのだが、一度ついたイメージはなかなか拭うことができず、1990年10月のマイナーチェンジで車名を「アプローズΘ(シータ)」に変更。

 そして、1992年7月のマイナーチェンジでは再び車名を「アプローズ」に戻し、1997年9月のビッグマイナーチェンジではフロントマスクをメッキグリルを持つラグジュアリーなものに一新し、インパネも2DINのオーディオスペースを上部に移設するなどの近代化を実施するなどの大きな改良を実施。2000年3月まで11年に渡って生産が続けられた。

 残念ながら大ヒット車種とはならなかったアプローズではあるが、ダイハツ渾身の1台であったことは紛れもない事実であり、自社開発のセダンを販売するために尽力した当時の開発陣には拍手喝采を送りたい。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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