日本車では完全に絶滅! もはや消えるしかない「V12エンジン搭載」の生き残り車を集めてみた (2/2ページ)

V12エンジンがまだまだ主役のブランドも

 イギリスのスポーツカー・ブランド「アストンマーチン」は、DB11、DBSの2モデルにV12エンジンを搭載している。さらに、ヴァンテージにもV12搭載グレードを登場させることを2021年12月に発表するなど、V12エンジンの牙城ともいえるブランドだ。

 DBSに積まれる5.2リッターV12ツインターボのスペックは、最高出力725馬力/6500rpm(なぜかkW単位の公式発表はない)、最大トルク900Nm/1800-5000rpm。DB11も基本プロフィールは共通で、こちらは最高出力447kW(639馬力)/6500rpm、最大トルク700Nm/1500rpm となっている。

 いずれも気筒休止機能を持つなど環境対応に配慮しているのがいまどきで、V12エンジンを生き残らせるために苦心していることが見て取れる。

 ドイツを代表するプレミアムブランドのメルセデスは、かつては幅広くV12エンジン搭載車をラインアップしていたが、日本で購入できるV12エンジンのメルセデスは、メルセデス・マイバッハS680 4MATICだけとなっている。

 そのM279型エンジンのスペックは、総排気量5980cc、最高出力450kW、最大トルク900Nm。排気量とトルクのスペックからわかるように、このエンジンは過給されている。ただし、ヘッドはSOHCであって、あくまでもプレミアムサルーンに最適化されたスムースなV12という位置づけだ。

 同じくドイツ系ブランドのBMWでV12エンジンを積んでいるのは最上級サルーンの7シリーズだけ。M760Li xDriveに搭載されるN74B66C型エンジンは、総排気量6591ccのターボ仕様。最高出力448kW/5500rpm、最大トルク850Nm/1550-5000rpmというスペックだ。

 そんなBMW製V12エンジンをベースに、独自に進化させているのがロールスロイスだ。SUVのカリナン、フラッグシップサルーンのファントム、ミドルサイズセダンのゴースト、クーペのレイスに、オープンのドーンまで、全ラインアップでV12エンジンを搭載する唯一のブランドだ。

 総排気量6748cc、バンク角60度のV12ツインターボのスペックは、ブラックバッジカリナンで441kW(600馬力)、900Nm。レイスとドーンの6591ccのV12エンジンのハイパフォーマンス版は465kW(632馬力)、870Nmを発生する。

 というわけで、現時点でカタログモデルとしてV12エンジン搭載車をラインアップしているのは、フェラーリ、アストンマーチン、メルセデス、BMW、ロールスロイスの5ブランドしかない。そのうち、もっともパワフルなのはフェラーリ812の588kWだ。最大トルクについてはアストンマーチン、メルセデス、ロールスロイスが900Nmで並んでいる。

 いずれにしても、庶民には縁のないモデルだが、ロールスロイスにしても将来的には電動化を宣言している状況において、徐々にV12エンジンが消えていくことは仕方ないだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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