昭和オヤジ泣かせの装備だった! 画期的かと思った「ミラーレス」のクルマが普及しないワケ (2/2ページ)

慣れないことによるユーザーからの拒否反応も

 また、これは液晶ルームミラーにも言えることですが、運転中になるべく遠くの前方を見る習慣がついている人が、急に近くの液晶画面に視線をうつすと、瞬時に瞳のピントが合わず、よく見えないことが多いと言います。とくに、40代以上で老眼が入ってきている人は、まったく見えないと嫌悪感を示す人が多くなっています。時間帯や向きによっては光の反射の影響が出てしまう場合もあり、逆に、以前のサイドミラーより夜間や雨の日などの視認性がアップするというメリットが謳われているわりには、そんなに違いがわかるほどよく見えるようになっているわけではなく、それなら普通のサイドミラーのほうがいいや、ということになってしまうようです。

 さらに、液晶ルームミラーの場合は、サイドミラーが既存の鏡だった場合に、前方視界はリアル、サイドミラーは鏡、ルームミラーは液晶画面と、3つの異なる視覚を瞬時に切り替えることになるため、より違和感を覚える人が多いようです。また、小さな子供を後席に座らせているような場合は、ルームミラーで子供の様子も確認したいものですが、液晶ルームミラーにするとクルマの後方しか映らないため、車内の様子はまったくわかりません。スイッチやレバーで液晶画面と鏡の切り替えは可能ですが、面倒なので普通の鏡でいいという人もいます。あとは、後続車がトラックやバスなど自車より大きいクルマの場合に、実際には車間距離を適切に空けて停車していても、液晶ミラーだとまるで煽られているかのように接近して映るので、恐怖感を感じる人もいるようです。

 こうした、慣れないことによるユーザーの拒否反応が多いことのほかにも、鏡なら割れない限りは半永久的に使用できますが、デジタルとなると当然、耐久性やトラブルも気になるところ。もし電装系がエラーを起こしたらどうなるのか? 極度の低温下などで結露などのトラブルは大丈夫なのか? もちろんメーカーとしてテストはしていると思いますが、心情的に心配になる人もいることでしょう。

 あとは、コストの問題です。ミラーレスや液晶ルームミラーはオプションで用意されているモデルが多く、新しもの好きな人はつけるかもしれませんが、なかなか高いお金を払ってまでつけたいという人がまだ少ないことも、広がらない理由といえそうです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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