3気筒って「安いクルマ専用」じゃなかった? いま続々拡大してハイパフォーマンス車にまで採用されるワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ダウンサイジングターボのメカニズムを振り返る

■3気筒エンジンは二酸化炭素の排出量が少なく、エンジンも小さくできるメリットがある

■3気筒エンジンが登場した当初言われていたデメリットは解決済みと言っても過言ではない

今や当たり前のダウンサイジングターボに死角はあるのか

 二酸化炭素の排出量削減のため、さらには省燃費の視点から、エンジン排気量を引き下げる「ダウンサイジング」の手法が浸透してからしばらく時間が経つ。このダウンサイジングの手法を振り返ると、技術の進化がクルマの性能に対していかに大きな効果をもたらすか、思わず感心してしまう。動力性能はそのままに排気量を引き下げる手法は、見事としか言いようがない。

 基本的に、ダウンサイジングの思考が振り向けられた車両は、普及価格帯にある一般乗用車の例が多く、自然吸気1.5〜1.8リッター級のエンジンが過給機付きの1〜1.3リッター級のエンジンに置き換えられる例がもっとも多い。

 排出ガスの絶対量を削減するには、エンジン排気量は小さいほどよいのだが、排気量を下げると出力/トルクが小さくなり、いわゆる非力なクルマになってしまう。そこで排気量の引き下げ分を過給機によって補おうという考えが生まれ、小排気量エンジン+過給機(この場合、排気ガスをエネルギー源とするターボチャージャーの例が100%と言ってよい)の組み合わせが用いられることになる。

 いや、ちょっと待て、過給機を使ったら燃費が悪くなるし、排出ガスも自然吸気方式より多くなるのでは、という疑問が生じるかもしれない。たしかに、タービンよる過給作用は、シリンダー内に多くの空気を送り込み、それに見合った燃料量を燃焼することで二酸化炭素の排出量も増えることになるが、タービンによる過給作用は加速時の一時的なもので、定速走行時には自然吸気状態での運転となることを見落としてはいけない。

 言い換えれば、加速力が必要な時には、タービンの過給によって一時的に大排気量エンジンとなるが、出力(トルク)を必要としない定速走行時はタービンによる過給作用もなく、エンジン本来の排気量(小排気量)で運転することができるという考え方だ。

 こうした手法が可能になったのは、言うまでもなく過給制御技術の進化によるもので、かつてはタイムラグが大きく、いったん過給が効き始めたら爆発的にパワーが発生するターボチャージャーの悪癖は、低回転時/小スロットル開度時から素早く反応する特性に変えられ、パワー(トルク)の立ち上がりは瞬時、かつ暴力的ではない穏やかな特性に作り変えられている。


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