1万5000円のステアリングヒーターを付けるのに14万円! ユーザー泣かせのクルマの「パッケージオプション」の現実 (2/2ページ)

ステアリングヒーターの装着に14万円かかってしまうことも

 トヨタ・ヴォクシーS-Zに設定される快適便利パッケージは、電動開閉スライドドアに併用されるハンズフリー機能、リヤゲートの電動開閉機能、ステアリングヒーターなどをセットにした。従ってメーカーオプションの単品価格が1万5000円程度のステアリングヒーターを装着するために、14万8500円(2WD)のセットオプションを購入することになってしまう。

 最近は安全装備の標準装着が進んだから、以前のように安全性を高めるために、不要なオプションパーツを抱き合わせで押し付ける車種は減った。それでも例えばダイハツ・ミライースにサイドエアバッグを装着するには、アルミホイールなどが備わる最上級のG・SAIIIを選ばねばならない。

 安全装備は同乗者を守る装備だから、アルミホイールと同列には扱えない。安全装備は、標準装着が理想で、それが無理な場合でも単品のオプション装着を可能にすべきだ。セットオプションにすべきではない。

 メーカーの立場でいえば、オプション装着を可能にするだけでコストアップに繋がる。完全な非設定に比べると、ワイヤーハーネスなど、オプション装着の準備をする必要が生じるからだ。装備の組み合わせも増えてしまう。

 それでも最近はスズキ・アルトがもっとも価格の安い94万3800円のAにも、衝突被害軽減ブレーキに加えてサイド&カーテンエアバッグまで標準装着するようになった。安全装備と快適装備は、区別して考えるべきだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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