フェラーリやランボに負けないための武器がターボだった! ポルシェの野心が生んだ930ターボとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■1974年のパリサロンでポルシェ初のターボ搭載ロードカーの911ターボを発表した

■デビュー時は3リッターで最高出力260馬力、最終的には3.3リッターで300馬力を実現

■前後フェンダーを拡大して大型リヤスポイラーを装着する専用のアピアランスが特徴

911を高性能なクルマにするためにターボ化が選ばれた

 1973年に勃発した、第4次中東戦争によるオイルショック。それがイタリアを中心とするスーパーカーメーカーに大きな打撃を与えたというのは、はたして事実なのだろうか。この年の10月に起きた石油ショックから年末までに、フェラーリは新型ミッドシップ、365GTB4BBを250台以上も受注していたとされるし、対するランボルギーニも、すでにカウンタックLP400に50台以上の受注を得ていたとされる。確かにオイルショックによる一時的な混乱はあっただろう。しかしながら、スーパーカーというプロダクトは、1970年代においては意外にも経済状況の悪化には強い、いや影響されにくい商品だったのである。

 そのような中で、1963年に発表した901シリーズ(911)をいかに進化させるかに苦悩していたのがポルシェだった。ポルシェのパワーユニットは、2リッターの排気量で始まった水平対向6気筒SOHC。ほかのスーパースポーツがより大きな排気量を持つV型12気筒、あるいはV型8気筒エンジンを搭載するなかで、ポルシェは1973年までにその排気量を3リッターにまで拡大することに成功するが、それでもポルシェの野心は尽きることはなかった。

 1974年のパリサロン。ここでポルシェはきわめてエポックメイキングなモデルを発表する。それはさらにその2年前、フランクフルトショーでプロトタイプとして発表されていた911のターボモデルで、それはロードカーとしてはポルシェ初のターボ搭載車となった。

 発売は1975年の春から開始されたが、その構成は前年に登場した3リッター仕様のカレラRSの3リッターエンジンにKKK製ターボを組み合わせたもの。最高出力はそのカレラRSに対して30馬力増の260馬力を現実のものとしていた。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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趣味
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