セルフ交換での「焼却処分」は資源のムダ? 汚れたエンジンオイルは再生できないのか

この記事をまとめると

■エンジンオイルを交換した際に出る廃油の処分方法は大きく分けて二通り

■ゴミとして処分する方法とディーラーやカー用品店などに引き取ってもらう方法だ

■もっと有効でよりエコなのは後者といえる

意外にも無駄なくリサイクルが可能

 エンジンオイルを交換した際に出る廃油の処分方法には、大きく分けて二通りある。ひとつは油吸着材(廃油パック)や新聞紙などに吸わせて燃えるゴミとして処分する方法。もうひとつは、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンド、整備工場などに引き取ってもらう方法。

 前者の場合、清掃工場で焼却処分されるだけなので、地球に優しくないように思えるが、環境省の資料によると、市町村等が設置するごみ焼却施設のうち約67%は余熱利用(発電又は熱利用)を行なっていて、多くの清掃工場では、焼却炉で出た熱を利用し、高温高圧の蒸気をつくり、蒸気でタービンの羽根を回転させて発電。工場内で使用するほか、余った電気を電力会社に売却したり、排熱を地域暖房に利用したりしているので、燃焼しやすい廃油を含んだ吸着材を焼却処分することは、まるっきり無駄というわけでもない。

 しかし、もっと有効でよりエコといえるのは、後者の方法。カー用品店やガソリンスタンドでオイル交換を頼んだ場合、廃油は店舗内の廃油タンクに集められる。それを専門の収集運搬業者が定期的に回収。業者は廃油再生処理工場に運んで、そのほとんどが再生重油として製品化される仕組みになっている。

 工場では、まず油水分離(加温静置)で水分を除去。次に遠心分離機にかけてスラッジを除去し、品質規格に準拠して再生重油となり、鉄鋼やアルミ、製紙、セメント、石灰などの直火使用工業炉や農業用ハウスでリユースされる。

 分離過程で規格外になった成分は、再生潤滑油になったり、絶縁油などはコンクリートの剥離剤に再生されたり、その他は補助燃料として再利用されているので、じつはけっこうエコだったりするわけだ。

 再生工程で出てくる一部の残渣物と、リサイクルに不適な廃油(塩素系金属加工油や水系のもの)は、油水分離のうえ焼却処理されるが、これらの割合はかなり小さい。

 廃油は厄介者のようなイメージがあるが、自動車用のエンジンオイルは使用済みといっても良質のものが多いので、きちんと回収してもらえれば、意外に無駄なくリサイクルが可能。安心して適切な頻度で、信頼できるお店などで、エンジンオイルの交換をお願いしよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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