妄信的なだけ? それとも理由がある? ポルシェ911ファンがいまだに「空冷」を神聖視するワケ (1/2ページ)

妄信的なだけ? それとも理由がある? ポルシェ911ファンがいまだに「空冷」を神聖視するワケ

この記事をまとめると

■911進化の歴史上でもっとも大きな転換点は1997年に実施されたエンジンの水冷化だった

■構造がシンプルで生産性にも優れて軽量な空冷エンジンはレスポンスにも優れていた

■ポルシェファンの多くはいまでも空冷エンジンの911に固執しており、その存在価値を高めている

ポルシェ空冷エンジンの原点は356にあり

 RRレイアウトが特徴的なポルシェ911。1964年に登場した初代(901型)から現代に至るまで、その根本的なパッケージングレイアウトを変更することなく、改良と改善を繰り返し進化してきた。911進化の歴史そのものが、ポルシェファンだけでなく世界中の多くのカーマニアの憧れとなっている理由だ。

 そのポルシェ911の進化の過程において大きな分岐点となったのが、象徴的な水平対向6気筒エンジンが空冷式から水冷式へと変更されたことだった。水冷式フラット6エンジンは1997年に登場した996型のポルシェ911に初搭載され、それ以降の911はすべて水冷化されている。

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997型ポルシェ911のフロントスタイリング画像はこちら

 このとき、じつは多くの911ファンが悲しんだ。フラット6であり、空冷式であることが911を911足らしめる重要な要素だと信じていたからだ。

 そもそも、なぜポルシェ911は空冷エンジンであったのか。ことの始まりは911以前に遡る。911登場以前にポルシェが生産していた唯一のスポーツカー「356」がその原点にある。356はフォルクスワーゲン社が1933年当時、アドルフ・ヒトラーの提唱した国民車構想をフェルディナント・ポルシェ博士が具現化したフォルクスワーゲン・ビートルをベースに、フェルディナント博士の息子であるフェリー・ポルシェがビートルのパワートレインや基本的パッケージングを流用したことから始まる。

ポルシェ356のフロントスタイリング画像はこちら

 スタッドレスタイヤやスノータイヤなど雪道専用タイヤが誕生するはるか以前に、冬の欧州のアイスバーンやアルプスの勾配を登るトラクションを確保するのに、重いエンジンを駆動輪である後輪の上に配置することが必要だと考えられていた。加速すればさらに荷重移動で後輪荷重が増すため運動力学的には駆動力に優れる。一方、前輪荷重は小さくハンドルが効きにくい。そのため、雪道ではエンジンのないフロントトランクに砂袋を積んでタイヤへの荷重を稼いでいたという。

中谷明彦
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中谷明彦
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レーシングドライバー/2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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