1ドル150円の影響は? 「猛烈な円安」が自動車業界に与える影響を解説! (2/2ページ)

為替変動によりグローバル企業の営業利益は大きく影響を受ける

 一方で、自動車メーカーの決算発表では、為替要因という項目で円安効果による売上高増が顕著に現れている。

 たとえば、トヨタが2022年11月1日に発表したの2023年3月期第2四半期決算の内容を見ると、前年同期の円ドルレートは110円に対して今期は134円となり、24円の円安。また、ユーロも131円に対して139円と8円の円安となった。こうした為替変動によって、営業利益は5650億円のプラス効果となった。一方で、資源高騰などの影響もあり、営業利益全体としては前年同期比で減益となっている。

 資源高騰では、国内生産の場合、海外からの輸入資源の仕入れ額が円安によって上がっている。ただし、ロシアのウクライナ侵攻などによる国際社会でのモノの動きが混乱していることが資源高騰の主な要因であることに変わりはない。

 こうしたなか、日本のユーザーがもっとも気になるのが新車価格の値上がりだろう。過去1年ほどで輸入車メーカーの多くが円安の影響により価格を修正するケースが増えている。

 また、日本国内で生産する日系メーカーでも、前述のトヨタ決算内容に見るように円安のみならず資源高騰の影響が極めて大きく、企業の収益を圧迫している状況だ。そうなれば、トヨタに限らず、日系メーカー各社が新車価格の上乗せを考えるという状況になっている。

 日系メーカーのあるオーナー経営者は以前、経済関連メディア記者からの為替差益に関する質問に対して「為替はみずもの」と表現し、不確定要素が多い為替を想定した企業経営の難しさを改めて示していたことを思い出す。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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