完売するならもっと売れば儲かるハズなのになぜ? メーカーが購入争奪戦になる「限定車」を発売する理由とは (2/2ページ)

趣味性の高いスポーツモデルには限定車が多い

 この後、4月に各グレードの価格が明らかにされたが、バージョンSTはプロトスペックと同等の装備を採用しながら、色彩が異なるだけで価格は50万円以上安かった。つまりグレードの価格がわかった段階で、プロトスペックが割高だったことも明らかにされた。これも疑問が残る売り方だ。日産はこのほか、2021年にGT-R・Tスペックを100台の限定で販売している。

 ホンダは、以前のシビックタイプR、最終型のS660などを限定販売したことがある。スバルWRX S4・STIスポーツ#も、500台の限定販売だった。趣味性の強いスポーツモデルには、限定販売が多い。なお限定でも抽選は行わず、順番になることもある。人気車は早々に完売してしまう。

 ユーザーの立場で考えると、抽選や短期間で完売する限定生産は好ましくない。しかし開発者は「スポーツモデルは、車種によっては特殊なパーツを使うから、生産台数にも限りがある。とくに趣味性の高いスポーツモデルは大量に製造できず、購入するお客様も少ないから限定車になる」と述べる。事情はわかるが、欲しいクルマを買えないのはユーザーにとって辛いことだ。

 しかも今は限定販売の車両が中古車市場で高値になり、新車価格を上まわる金額で販売されることもある。「プレミアム価格」といえば聞こえはいいが、実際は市場の混乱だ。欲しいユーザーに行き渡り、中古車市場でも適切な価格で流通するようにして欲しい。

 限定販売の納期はさまざまだ。日本車の場合、販売店によると「カタロググレードと大差ない」という返答が多い。輸入車は「先に生産して輸出する場合、納期は短いが、魅力的な車種は発売すると短期間で売り切れる」という。いずれにしても契約は早目に行いたい。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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