残価設定ローン終了時に乗り替えられない! 納期遅延が生み出した新たなる問題 (2/2ページ)

納車から1年で乗り換えの提案をしているディーラーも

 設定残価率は中古車相場よりやや低めに保険をかけているので、完済前のしかるべき時期(たとえば5年ローンを組んで、初回車検前後で乗り換えなど/ケースによっては査定額で相殺だけでなくお釣りが残ることもある)に下取り査定額で残債整理し、次の新車に乗り換えるのがベストパターン(アルファード以外でも完済しないのが残価設定ローンの賢い利用法)ともいわれている。しかし、現状ではたとえば現行アルファードから次期型アルファードへの乗り換えなど、多くのケースで、乗り換え予定の新車の納車予定時期の見当すらつかないのが現状となっており、アメリカのように逆算するなど計画的に新車に乗り換えるのはほぼ不可能。そもそも人気のより高いモデルほど、メーカーもディーラーもいつ生産ができて、いつ納車できるのかなど見当もつかない状況となっている。同じモデルでもメーカーオプションの選択の違いで状況がより異なるのほど状況は混乱しているのである。

 新車への乗り換えがスムースにできないからと、支払最終回分となる据置分(設定残価分)の金額に対し再ローンを組み支払いを続け、乗り続けるということもできるが、再ローンの支払期間は2年のみとなっており、2年間で240万円を返済するのはかなり厳しい。残価設定ローンにおける支払最終回の清算方法は、たとえばアルファードならば、トヨタ車への乗り換え、車両の返却、再ローンから選ぶことができる。現状では新車の多く(とくに人気車)の納期が読めないなかではスムースな新車への乗り換えはできない。しかし再ローンを組んでの返済継続はかなり厳しい。そうなると、車両を返却して清算となるので、一時的にマイカーのない状況か、中古車でつなぐことになる(といっても中古車も現状ではタマ不足でしかも価格は高め)。

 アルファードを例にしたが、残価設定ローンはすでに新車販売の6割で利用されているともいわれているので、ほかの車種でも同種の問題が発生しかねない。そもそも残価設定ローンは、同メーカー車への乗り換えを促進し、顧客の囲い込みを目的として開発された商品であり、現状では新車販売促進効果も薄れてしまうともいえる。中古車不足で下取り査定額は全体的にも底上げ基調となっているので支払途中での乗り換えでは好機到来ともいえるが、いざ乗り換えとなってもお気に入りの新車が1年待たないと納車にならないとか、新規受注停止では話にならない。ローン支払い途中で所有権留保されていても買い取りに応じてくれる専業店もあるが、とにかくすぐ乗り換えられる新車は限られるのが現状。納期優先で選んだとしても平時よりは数カ月ほどは納期が遅延しているケースがほとんど。

 そこで販売現場で話を聞くと、前出のアルファードでは、納車後1年経ったお客にすでに次の新車への乗り換えを勧めているとのこと。「2022年にトヨタRAV4の新車が納車になったお客様で、2022年中に次の新車としてトヨタ・ヴォクシーを発注した方もいらっしゃいます。ノア&ヴォクシーは一時的に納期が縮まっておりますが(本稿執筆時点)、直近まではオプション次第では納車予定が2024年末ごろまで遅延していました。これだけ世界情勢や経済が混乱しているなかでは何が起こるかわからないので、再び納期が延びても不思議ではないとのことでした」とは現場のセールスマン。

 前述したように、海外では在庫販売が主流である、日本国内における欧米車、いわゆる輸入車でも在庫車販売が基本。いくつかの輸入車ブランドで聞いた限りでは一部人気車(メルセデスベンツGクラスなど)を除けば、ほぼ平時並みといっていい納期となっているので、いままで日本車しか乗ってこなかった人で輸入車に興味があれば、輸入車に乗り換えやすい状況にあるともいえ、これもまた好機到来といえるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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