庶民のクルマと高級車ではなぜ車内の「うるささ」が違う? そもそもの音の発生原因と静粛性が異なる理由 (2/2ページ)

騒音のレベルを下げる方法には吸音と遮音がある

 個体伝播経路は、音ではなく振動と解釈してよく、エンジン振動、駆動系振動、タイヤ振動、サスペンション系の振動などが、ボディ(シャシー)をとおして伝わることから固体伝播と呼ばれている。

 キャビン内に伝わるこれら騒音/振動のレベルを下げるには、発生した騒音を吸収する吸音の方法と、キャビン内への騒音の伝わりを遮断する遮音の方法がある。吸音材は、騒音の発生源となる箇所に貼り付けることで、たとえばボンネット裏に吸音材を貼ることによって、エンジンルームで発生するエンジン音や駆動系の騒音を吸収し、外部に伝わる騒音レベルを下げる方法だ。

 遮音材も同様の効果を狙ったもので、キャビン内に騒音が入り込んでくる箇所に、騒音を遮断する遮音材を貼り付ける方法で、ドアパネル裏、ルーフライニング間、フロア面、バルクヘッド面などが挙げられる。

 吸音材や遮音材に頼らぬ騒音対策としては、騒音の発生レベルそのものを抑える方法があり、低騒音タイヤなどはこうした例のひとつだ。パターンノイズや反響音を抑えるため、音の発生そのものを抑えたトレッドパターンのデザイン、タイヤ内部に発生した反響音を吸収する吸音材を配したりする設計のタイヤが製品化されている。

 やっかいなのは、こもり音と言われる室内騒音の対策だ。ひと口で騒音と表現しているが、音以外にも振動の要因があり、これまで挙げてきた騒音、振動の要因が複合して発生する場合が多く、車体を構成するパネル剛性にまで原因は波及するため、決定的な解決策の究明はむずかしい状況にある。

 新車コンディションのときはいいが、距離を走り込んだとき、あるいは古くなったとき、どの程度騒音、振動が大きくなるのか、それが気になるところである。


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