価格は天井知らず! 時間も事前見積もり不可! 知られざるクルマのレストアの世界

この記事をまとめると

■中古車市場で「レストア済」という言葉をよく目にする

■「レストア」とは具体的にどのようなことをしているのだろうか?

■一口に「レストア」といってもその範囲は広い

費用や期間を事前に把握することはできない

 店頭や中古車情報誌、中古車サイトなどで見かける、美しく仕上げられた旧車に掲げられた「レストア済」の文字。レストアとは英語で復元や再構築といった意味をもっており、クルマにおけるレストアとは、傷んだ部分を修復し、元どおりにするということを指している。

 ただ一口にレストアといってもその範囲は広大で、傷んだ塗装やサビたボディはもちろんのこと、シートやダッシュボードなどの内装関係、エンジンやトランスミッション、足まわりにブレーキなどの機関系にライトやスイッチ類などを司る電装系と、クルマにまつわるすべての部分が対象となる。

 もちろん新品部品が出るのであれば、新品に交換すればOKということなるが、旧車と呼ばれる年式のクルマに関してはほとんどの部品はメーカーからの供給がストップしており(一部人気車種はアフターパーツメーカーが同等品を生産していたり、メーカーが再生産することもあるが)、不具合を抱えた場所を正常な状態にするだけでも多大な労力が必要になるのである。

 ボディについても、現在目視で分かるサビや凹み、塗装の劣化だけを直すのか、それとも過去の補修部分なども含めて現在の技術で再修復するのか、部分補修にするのか、すべて手直しをするのかなど選択肢はさまざま。

 とくにボディは開けてみて初めて分かるダメージや過去の補修歴などもあるため、レストアにかかる費用や期間を事前に把握するのはほぼ不可能と言っていいだろう。

 そのため、愛車のレストアをプロに依頼する場合は、どこまで仕上げるのかよりも、予算がどのくらいあるのかを伝えることが重要となる。いくらキレイに仕上がったとしても、その費用を支払うことができなければ元も子もないからだ。

 またすでに「レストア済」と掲げられた中古車を購入する際も注意が必要だ。ここまで述べたようにレストアの範囲は限りなく広いため、パッと見はキレイに見えてもじつは雑な補修がされていたり、不具合の根本治癒をせず、応急処置だけで誤魔化している可能性もあるからだ。

 もちろん誤魔化して販売するような店舗は極一握りではあるが、本気でレストアをしようと思ったら費用は天井知らずにかけることができてしまうため、在庫車両にはそこまで本格的なレストアは施せないというのが現状だ。

 そのため、もし気に入った車両を購入してレストアをしようと考えているのであれば、現状のまま店頭に並んでいて、購入者の要望に合わせて修理、レストアをしてくれるような販売方法を採っているお店を選ぶ方が間違いない。

 ただ前述したようにレストアは費用だけでなく時間もかなりかかる作業となるため、名の知れたレストアを手掛けるショップは入庫できるまでに数年待ちというケースも珍しくないので、中長期的な計画を立てることも必要となるだろう。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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愛車
日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
趣味
長距離ドライブ
好きな有名人
ザ・リーサルウェポンズ

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