かつて自動車雑誌の試乗記を賑わせた「ネガティブ表現」! いまや「死語」となった8つの用語とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かつてクルマを評価するうえでよく語られた単語などを紹介

■技術がまだ発展途上だったために、かつてのクルマはネガな要素が目立っていた

■最近では技術が進歩したのでかなりネガな部分は解消され、それを表す単語も少なくなった

懐かしいあの単語もいまではほぼ死語に

 クルマの評価にも流行り廃りがあるというか、技術の進歩で近頃ではあまり耳にしなくなったフレーズもある。今回はそうした最近聞かなくなってきたネガティブな用語を拾っていってみよう。

FF=フロントヘビー

 車体の前方にエンジン、ドライブトレインが集中するFF車は、どうしても前後の重量バランスがフロント寄りになってしまう。フロントの慣性重量が大きいということは、直進性に優れる反面、曲がりにくくてアンダーステア傾向になるのが宿命。そのため、FF車はいつも「フロントヘビーだから云々」との評価がついてまわったものだが、昨今そのことが強調されるクルマは少なくなった。

 これはフロントヘビーのFF車が減ったからではない。

 たとえば、スズキのスイフトスポーツの前後重量バランスは、64:36。ホンダ・シビックタイプRもFK2が65:35、FK8が62.5:37.5ぐらい。ルノーメガーヌRSが63:37なので、FRの理想とされる50:50に比べれば、はるかにフロントヘビーだが、重量配分が悪いという話はあまり聞かない。それはボディの進化、タイヤの進化、サスの進化、エアロの進化、etc.で、アンダーステアが抑えられ、「曲がる」FF車になってきたからだろう。

テールハッピー

 テールハッピーとは、お尻を振りやすいクルマのこと。コーナーリング中に簡単にリヤタイヤが横滑りしやすい特性のことだが、ESC(横滑り防止装置)が標準のいまのクルマではまずあり得ないし、ESCをカットしたとしても、自動車メーカーとしては、スピンしやすいクルマを量産するのはタブーとしている部分があるので、テールハッピーなクルマが姿を消してもうずいぶん久しい。

トルクステア

 駆動力の左右差によって、ハンドルを切っていないのにクルマが曲がろうとする現象のこと。FF車もしくは4WDで、発進および加速時に生じるもの。

 原因は、左右のドライブシャフトの長さの違いや重量の違いで、トルクの大きいエンジンを積むクルマほどトルクステアが発生しやすい。とくにコーナーリング加速時に発生することが多いので、スポーティなクルマほど喰らわれる悪癖だったが、力学的な問題なので、等長ドライブシャフトなどを採用することで、ほとんどのクルマが気にならないところまで改善されている。

ドッカンターボ

 国産乗用車のターボエンジンは、1979年の日産セドリック(5代目430型)からはじまるわけだが、1980年代初期のターボエンジンは、まだターボの制御技術が未熟で、エンジンの排気量に対しターボチャージャーのサイズが不釣り合いだったこともあり、負圧域はただの低圧縮NA=どん亀で、インターセプトポイントを超えると、ドンといきなりトルクが出るクルマが少なくなく、こうした特性を“ドッカンターボ”と呼んでいた。

 いまではレーシングカーやチューニングカーでもドッカンターボは絶滅に近い状態で、ドライバビリティのいいターボが全盛期を迎えている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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