国も自治体もライドシェアの基本を理解してる? 新しいサービスなのに既存の仕組みの中に組み込もうとする日本の悪しき慣習 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシー不足などの問題解決のために本格導入に向けた議論が行われている「ライドシェア」

■行政や政治家レベルではライドシェアとはどういうものかという認識に大きなズレがある

■ライドシェアを既存システムに押し込めようとする動きにデジタル化の遅れを感じた

ライドシェアの導入検討がいよいよ本格化

 政府レベルでもライドシェアサービス(以下ライドシェア)の日本国内導入について活発な議論が行われるようになった。ライドシェア導入には問題が多々あるといった、導入へ向けての消極的な報道が多いように見受けられる。

 また、コロナ禍となってから離職が目立つようになったタクシー乗務員に関しては、その後に新型コロナウイルス感染拡大が沈静化してインバウンド(訪日外国人観光客)が日本を訪れるようになってもタクシー不足は解消されておらず、全国的にタクシー不足が問題となっている。

 タクシー事業者が思うように人材を集められないなか、にわかにタクシー不足解消の救世主として注目されたのが「ライドシェア」となっている。すでに大手タクシー事業者を中心に、スマホアプリによるタクシー配車サービスに加盟しているケースも多く、アプリで目的地などを入力して、タクシーの配車要請を行うというものが普及しており、このスマホアプリ配車は、ライドシェアと流れは似ているものとなっている。

  

 タクシーのスマホアプリ配車は、それに加盟しているタクシー会社のタクシーを配車してもらうサービスとなる。しかし、諸外国のライドシェアとは、あらかじめ登録している、自家用車で希望者を目的地まで運ぶことができるドライバーと、そのような一般ドライバーの車両で移動したいという人を、スマホアプリ上でマッチングさせるサービスであるということが大きく異なる。

 つまり、ライドシェアの基本はアプリによるマッチングサービス業となり、諸外国では旅客運送事業という認識ではないのだが、日本では「タクシーに近い旅客運送事業」という認識で議論が進んでいるように見える。

 神奈川県がライドシェア導入へ検討を進めているが、神奈川県の案では、タクシー事業者がライドシェアサービスを行うドライバーの面接を行い、登録や研修などを行う窓口、いわばライドシェア車両及びドライバーの運行管理を行うことが求められている。

 この時点で、日本国内における行政や政治家レベルでは、ライドシェアとはどういうものかという認識に大きなズレがあるといえよう。メディアでは事故が起きたらということがよく取り上げられるが、純粋なライドシェアは単にマッチングサービスとなるので、その後の事故などのトラブルでは、当事者同士の問題、つまり利用者の自己責任に任されることになる。

 神奈川県の案では、既存のタクシー会社がちょっと変わった、新しいタクシーサービスを開始するようにも見えてしまう。

 単なるマッチングサービスと捉えれば、そもそも自賠責保険は義務加入であるし、ライドシェアに参加する車両には任意保険への加入を登録条件にすれば問題がないともいえる。車両管理も乗用車ですら日常点検義務があり、世界的に厳しい車検制度があるのだからこれも問題ないと言える。

 車内でのドライバーによる犯罪抑止については、マッチングサービス会社のクラウドサーバーへ自動的に映像が蓄積できるような、指定ドライブレコーダーの装着を登録条件にすれば抑止効果も高まるというもの。

 ただ、このままではまずいとするのが、いまの導入へ向けての論議となっているようである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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