穴だけあって何の表記がないクルマもあるけど……? 覚えておくべきシフトレバー横の鍵穴の役割とは (2/2ページ)

鍵が刺さるようになっているのは合理的な仕組み

■なぜ鍵穴にする必要があったのか?

 この機構が鍵穴である理由についての明快な回答は見つけられませんでした。鍵穴というと、防犯上の理由のイメージが強いと考えますが、このシフトロック解除に関しては、どちらかというと安全策の意味合いが強いのではないかと考えます。

 このシフトロックの解除がカンタンにおこなえてしまう場合を想定すると、急いでいるときなどにこのロック解除を安易に使用してしまうケースも出てくると思いますので、せっかく設けた安全策の確実性が下がってしまいます。

 そう考えると、キーを抜いてしまえばエンジンは必然的に止まりますので、その状態ならシフトロックを解除しても、急発進の問題は起こらないということになります。

 機構的にはそれなりにコストもかかりそうですし、説明書を読まないという主義の人たちにはあまり認知されないという欠点はありますが、よく考えられた仕組みだったんだと、少し感心させられました。

■解除用の鍵穴やボタンが消えた理由

 そんな安全策のシフトロックとその解除機構ですが、昨今では装備していない車種が増えているようです。
たとえばハイブリッド車の代名詞「プリウス」がそうです。そもそもボタンや鍵穴で解除できるということは、そのロック機構自体は機械的な操作で行われていることの証といえます。ところがプリウスのシフト操作は、インパネに備わったコンパクトなレバーをカチカチする方式からも想像できますが、電気的にシフトの操作を伝達する「シフトバイワイヤ」方式のため、機械的なロック解除が採用されていないのです。

 こういう方式の車両でバッテリー上がりやガス欠、エンジントラブルを起こし、始動不能となってしまったらどうしたら良いでしょう?

 答えは無闇に触らないで、ディーラーやJAF、保険などのロードサービスを呼んで任せるのが最善とのことです。WEBで得た不確かな情報で無理に動かしてしまったりすると、ミッションにダメージを負ってしまう恐れもあるとか。

 個人的にはこのようにクルマの「アンタッチャブル」化が進んでいくのは寂しい限りです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

新着情報