かつて新車には季節によって売れる「旬のクルマ」があった! 新車ディーラーが昔のような「季節戦略」をとれなくなったワケ (2/2ページ)

納期乱れによりタイミングを狙ったセールスが困難に

 現状はだいぶ改善されているが、国内販売シェアトップのトヨタを中心にまだまだ納期が乱れ気味となっている。そのため「5月の大型連休に新車で出かけたい」などと決め打ちで新車を購入することは難しい。さらに、そのような特殊な状況がなくとも、新車販売全体の4割に迫る勢いで軽自動車が売れ、セダンやクーペはすでに絶滅危惧種になろうとしている。登録車の販売の中心はミニバンとSUVになっており、レジャーのみならず、日常生活でもそのまま使うのがいまや当たり前となっている。

 いまの新車販売に季節感がまったくなくなったというわけではないが、最盛期の半分程度にまで市場も落ち込んでしまい、今後も明るい話題が期待しにくいなかでは、季節に合わせておすすめ車を調整するような余裕もなくなってきているようである。

「新車が欲しいという話があれば即対応する」、目の前のニーズをとにかく自分のものにしなければならないというほど、いまの新車販売の世界は余裕がないのである。

 また、過去には日本国内での需要メインで買い取り相場が形成されていたが、いまや相場形成の主導権は、登録車では海外輸出をメインとした外国人バイヤーが握っているので、その意味でも季節感というものが薄れてしまうのは仕方がないことかもしれない。

 実際、新車の売れ行きに「旬」というものがあるのかは別として、かつての販売現場では「いまはミニバンを」などと売り方を考えながら日々活動することができた。しかし、現在の販売現場をまわると、そのような話はほぼ出てこない。

 いままでも「目の前のノルマが優先」とはいってきたが、いまはそれが先鋭化しており、とにかく「なんでもいいから話が出れば受注する」といったような余裕のなさが、筆者には目立って見えてしまっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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