北斗の拳? マッドマックス!? ダカール制覇を狙う日産エンジン搭載の「サンドライダー」が世紀末感満点のマシンだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■近年のダカールラリーではダチアのサンドライダーが活躍している

■ダチア・サンドライダーは日産のVR30DDTTを搭載している

■砂煙をあげて疾走する姿は終末世界を彷彿とさせる

ダカールラリーのダチアに注目

 もっとも過酷なラリー競技といわれる「ダカールラリー」ですが、近年のエントリーマシンは市販車とは似ても似つかないスペシャルマシンが覇を競い合っています。基本的に4輪駆動で車高の高い2シーターという枠組みながら、魔改造のピックアップトラックや、ラリーを新たに解釈したSUVなど千差万別。

 なかでも、世紀末感というかポストアポカリプス感をアピールしているダチアのサンドライダーはダントツのカッコよさ。耳慣れないメーカーのマシンですが、じつはルノーと日産が協力している影の優勝候補だったりしたのです。

 ダチアはルーマニアの自動車メーカーで、近年はSUVに力を入れているほか、ヨーロッパ圏では積極的にレースに参戦しています。ルノーの資本が入り、日産との協力体制もあるとなると、ルノースポールやNISMOといった力強いバックアップも期待できそうです。実際、VR30DDTT、すなわちZが搭載する3リッターV6ツインターボはサンドライダーでも使用されており、チューニングには日産のエンジニアも携わっているという噂です。

 そんなダチアが2021年に発表したコンセプトSUVが「マニフェスト」で、フロントスクリーンが省かれていたり、自然回帰型の素材で構成されていたりなど、かなりの個性派モデルでした。このマニフェストをベースとして、イギリスのレーシングコンストラクター、プロドライブが作り上げたのが、今回のサンドライダー。EVだったマニフェストから、ガソリンエンジン搭載のラリーカーに仕立て直すのに、これほど最適なファクトリーはないでしょう。

 スバルファンにはお馴染みのプロドライブが担った仕事は、鋼管フレームづくりに始まり、4WDパワートレイン、そしてサスペンションまわりのセットアップ。ここにルノースポールが細かなチューニングを施し、前述のV6ツインターボをセレクトといった具合。もちろん、ダチアもラリー競技に適したインテリアや、デザイン変更を担うなどしっかりとコミットしています。

 たとえば、マニフェストの形状では視界の確保に問題があったのですが、ダチアのデザイナーはシート、ペダル、そしてダッシュボードの最適化によってクリア。さらに、乗員の快適性や疲労軽減に対するノウハウが注ぎ込まれ、ただでさえ過酷なダカールラリーの負担を和らげることに成功したといいます。

 また、カーボン製ボディパネルに塗られた赤外線防止顔料は、砂漠の陽射しを遮断する効果があり、キャビンが耐えられない暑さになること防ぐとか。


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報