無人のトラックの「ホーン」が鳴っていたら一大事! 子どもにも知ってほしいトラックの「SOS装置」

この記事をまとめると

■誰も乗ってないように見えるトラックのクラクションが鳴り続けていることがある

■もしもこのような場面に出くわしたら荷台を開けてほしい

■トラックドライバーからのSOSのサインの可能性があるからだ

トラックは「非常警報装置」を備えている

 誰も乗ってない停車中のトラックがクラクションを鳴らし続けていたら……?

 これは決して幽霊やオカルトの類ではなく、トラックドライバーからのSOSのサインなのだ。

 荷室内でドライバーが作業中に、何らかの拍子でリヤの観音扉が閉まってしまった、あるいは誰かが間違えて閉めてしまった場合、ドライバーはそこに閉じ込められてしまう。そしてその閉じ込め状態が長時間続いたら……!? そういった万が一の事故を防止するため、箱車(バンタイプ)やウイング車のトラックには荷室内に「非常警報装置」というブザーのスイッチが設けられている。無人のトラックが鳴らし続けるクラクションは、その警報というわけだ。

 近年、X(旧ツイッター)でも話題になったこの話。Xにポストしたユーザーは「義務教育に含むべきだと思っている」と投稿。そして「クラクションが鳴っていたら、怖がらないですぐに荷台を開けてあげてください。なかに人が閉じ込められているかのしれません。これは知っておいてください」とその無人トラックのクラクション=非常警報装置の重要性について訴えていた。

 この非常警報装置。とある大手トラックメーカーでは1982年頃からカタログに掲載。つまり、標準装備されていた安全装置で、いすゞエルフなどの小型トラックの場合はクラクションと連動。4トン車(中型車)や大型車は別途ブザーをキャビンの外に設けているケースが多い。

 ちなみに中型・大型車の場合、荷台は架装メーカーが製造するもののため、非常警報装置も架装メーカーの製品となる。また、冷凍車など庫内の温度を調整できる車両の場合は、数秒の遅れが命にかかわることになるため、非常警報装置に加えて荷室の内側から開けられるドアを装備しているものもある。

 このほか、荷台の側面が開く大型のウイング車では、そのウイングが完全に閉まらないと走り出せない仕組みになっていたり、ゴミ収集車(パッカー車)では作業者の危険を察知してゴミを荷室内に押し込む回転板が自動でストップする巻き込み防止機能が付いていたりと、各トラックメーカー、架装メーカーでさまざまな安全装置が開発されている。

街を走行するごみ収集車

 トラックには走行の安全を守るための装備だけでなく、積み下ろしなどの作業をする仕事面での安全装備も日々新しいシステムが考えられ、導入されているわけだ。前述した停車中のトラックのクラクションに関するSNSの投稿はトラックの安全対策として多くのネットユーザーに周知され、トラックメーカーにもその声が届いたという。

 日常、街なかを歩いていても、クルマで走行していても必ず見かけるトラックたち。もし停止した車両からクラクションなどの警報が出ていたら、すぐにその車両に駆け寄り、ドライバーを助けてあげてほしい。


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