さまざまなトラブルに見舞われることに
もちろん配達はここで終わりではない。ようやく校舎の下に辿り着いて愕然とするのは、職員室が2階、かつ階段しかないというヤツ。荷物を持って階段を上り、インターホンのボタンを押す(いまは安全対策の点からインターホンで来校者の確認をしてからでないとドアを開けてくれないのだ)。
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ここで、ようやく配達完了かといえば、まだまだ先がある。玄関口ではなく職員室や印刷室に運んでくれと言われることがほとんどなのだ。そして、校舎内に入るとそこからまた階段で3階や4階へと駆け上がる。たかが10kgの荷物とはいえかなりの重労働なのはおわかりいただけるだろう。
運ぶ冊数が増えた場合は手で持つのが難しくなるので台車の登場だ。台車を使えば20束くらいは簡単に運べる頼もしいアイテムだが、階段の前ではその威力も発揮されることはない。階段下に台車を停め、そこから手で持って職員室まで何回も往復するしかないのだった。
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こうした校舎の構造の問題に加えて、軽バンの駐車場所に関しても一筋縄ではいかないのが配送業務。
搬入口が職員室から近く、階段もない。おまけに届けるのは少量というケースに限って、学校前の道路が狭く、軽バンの1台を停めるスペースすらないとうことが往々にしてある。こうなると、かなり離れた場所にクルマを停めて、そこから歩いて運ぶしかないわけだ。
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もし配達の時間指定がされているとしたら、悠長に歩いている余裕などないだろう。よく走って配達をしているドライバーさんを見かけるが、こういう駐車場所問題も大いに関係しているのだろうと想像できる。
ちなみに都心の中学校は校舎が新しいところもあり、階段はすべてスロープで職員室まではエレベーターというところが多かった。さすがは都内だといいたいところだが、都心である分、道幅も狭く一瞬たりとも駐車ができないケースも少なくなかった。
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また、雨の日に小高い丘の上にある中学校に配送する場合にも注意が必要だ。当日の配送業務をスタートした直後は、荷室には大量の紙の束が乗せられているため当然重い。この状態で上り坂に差しかかると「荷物が重すぎて上っていかない」といったことが起こる。アクセルを踏んでもエンジンは唸るだけで前に進まないのだ。
さらに、この逆もあり、下り坂の下に配送先があって、いざ帰ろうとしたらこれまた重すぎて上っていかなくて途方に暮れるというパターンだ。
こうなると、選択肢はふたつ。手でもって届けるか、別ルートを探すしかない。10日間の業務でこうしたトラブルが3回もあったことを付け加えておこう。
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こうして着々と経験値を積み重ねて行ったのだが、ときにはベテラン用務員のおばあさんに「そこは入り口じゃねぇ」と怒られたこともあった。300冊の資料を必死で運んだら、中身がわからないものを受け取れないと拒絶されたこともある。
しかし、嫌なことばかりでもなかった。校舎内に入ると、すれ違う中学校の生徒さんから「こんにちは!」「ありがとうございます!」と声をかけてもらったことも1回や2回ではない。配送をしているとわかるのだが、こんなひとことがやる気を一気に上げてくれるのだ。
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実際に配送を経験してみて初めてわかることも多く、普段は何気なく受け取っている宅配の荷物は、こんな苦労の上に成り立っているんだなと感じることができた。
物流に少しだけ触れられたことと、いろいろなことがありながらも無事に3万冊を配り終えたのはいい経験だったとつくづく思う。
いつも配達してくれるドライバーのみなさん、ありがとう!