チューニングでトルクアップは可能
たとえば排気量2リッターのエンジンに、ターボで1.0kgf/cm2の過給圧をかけると、大気圧+1.0kgf/cm2、つまり大気圧の2倍の空気密度になるので、NAエンジンの4リッター分の吸入空気量をエンジン送り込んでいると考えていい。
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その結果、2リッターターボでも、NAでは4リッターに匹敵するトルクを得られることになる。
またトルクは圧縮比が高くなるほど大きくなる。トルクはピストンがコンロッドを押す力、膨張力で決まるので、吸入空気量を増やしたら、それを速く燃やしてやることが必要。燃焼時間を短くするには、燃焼室が小さいのが望ましいので、シリンダーヘッドの面研などを行って圧縮比を上げるチューニングもメジャーな方法。
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ただ燃焼室のコンパクト化は、吸入空気量と反比例する部分もあるので、バランスが重要。
あとは、エアクリーナーや吸排気ポート、エキマニ、触媒、マフラーなどを見なおして、空気の流れをよりスムースにして、体積効率を向上させるのもトルクアップにつながるチューニング。
バルブタイミングやカムシャフトのプロフィールもトルクに影響するが、バルブが開いている時間が長く、リフト量が多いと、高回転、高出力型になるが、低回転域ではバルブが開いている時間が長いと吹き返しが起こり、エンジンは力を失ってしまう。
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そういった意味で、可変バルブタイミング、可変バルブリフトはとても優れたシステムだ。
そして燃料系では、霧化を促進するのもひとつの手。インジェクターを多孔タイプにすると燃焼効率がよくなるのでトルクアップに繋がる。
こちらはエンジンチューンではないが、駆動系で減速比を大きくするのも、トルク感アップやアクセルを踏み足したときの力強さに貢献する。ファイナルギヤをローギヤ化するのがひとつの例だ。
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トルクのあるクルマはドライバビリティがあって乗りやすい。起動トルクが最大トルクとなるモーター(EV)には電動車ならではのよさがあるが、レシプロエンジンはトルクの山があるから乗っていて楽しい面もある。
チューニングするなら、ピークパワーだけでなく、トルク特性も意識してセットアップしていくと、もっと楽しくなるはずだ。