事故で消滅したたった1台の幻のランボルギーニ「イオタ」! メーカーが本気で作ったレプリカ「ミウラSVR」は世界のランボファン憧れの1台 (2/2ページ)

消滅した幻の1台はレプリカとして復活

 その後、ランボルギーニは、カスタマーの求めに応じて少数のイオタ・レプリカを製作する。「ミウラSVJ」と「ミウラSVR」がそれだ。いずれもハンドメイドによるものであるため、その仕様は細部では異なるが、唯一SVRはグラマラスなリヤフェンダーやルーフエンドに備えられたウイングなど、独特なアピアランスをもつことで知られている。そのベースとなったのは、1968年にデリバリーされたミウラS(S/N:3781)。新車当時のボディカラーはグリーンであったことが記録されている。

 プレクシグラスのカバー内に収められるキャレロのヘッドライト、高速走行時のノーズリフトを低減させるための(オリジナルのイオタは、それが原因で宙を舞いクラッシュしたと伝えられている)チンスポイラー、ボンネット上に備わる一対のエアアウトレット、そしてワイドなBBS製ホイールなど、そのディテールを仔細に見れば見るほどに独自のフィニッシュが確認できるミウラSVR。

 スピードメーターは400km/hをフルスケールとするものだが、これはミウラSからミウラSVRへのコンバート時に新たに採用されたものとなる。インテリアカラーはコンバート時にはスパルタンなブラックだったが、日本にこのモデルがあるときにゴールドを基調とした色調に変化。それは再びポロ・ストリコによってブラックに直された。

 ミウラSVRのミッドに横置き搭載されるエンジンは、「2511」のエンジンナンバーをもつ4リッター仕様のV型12気筒DOHC。最高出力は400馬力/8500rpmと伝えられており、そのパワーに対応するため、サスペンションはダブルウイッシュボーンとデザインはミウラSV以降のものと同一だが、セッティングはさらに強化され、またタイヤはフロントに225/50VR15、リヤには345/35VR15サイズのピレリ製P7Rが組み合わされた。ホイールはそれに対応するBBS製のメッシュタイプ。ゴールドのカラーはレッドのボディに、じつによく似合う。

 わずかに1台のみが生産されたミウラSVR。そのきわめて個性的でスポーティーな外観と、400馬力に達した最高出力は、スーパーカー・ブームの当時、少年たちにとって夢の存在となった。そしてその魅力は現在でも、けして衰えることを知らないのである。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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