この記事をまとめると
■中国では新車販売台数全体のうち約40%が新エネルギー車だ
■上海を走るICE車はメルセデス・ベンツのGクラスなどの高級車が目立った
■中国市場では今後ICE車はお金もちの道楽のためのクルマとなる可能性がある
上海を走るクルマに見る内燃機関車の今後
先日6年ぶりに上海に行く機会があった。日本にいると中国の街なかを走るクルマはBEV(バッテリー電気自動車)ばかりのような印象を受けがちだが、新車販売統計を見ても全体の4割が新エネルギー車(BEV、PHEV、FCEV)となっている。全体で2600万台(年間販売)ほどの市場のなかで、最近初めて新エネルギー車の販売が1000万台超えした……というのが最新の数値だ。
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ただ、全体の4割が新エネルギー車となっているせいか、市内はかなり静かになっていた。路線バスはBEVもしくはPHEVなのでエンジン音というものはほぼ発生しないし、日本でのハイエースのような、キャブオーバータイプの商用バンも見た感じはほとんどBEVとなっている。
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とはいえ、日本でのエルフやキャンターサイズのトラックがまだICE(内燃機関)メインなので、それらの車両からは、ガラガラとディーゼルエンジン音が発生している。ただパッと見はその程度だ。
乗用車タイプのICE車も、低年式車は別として、高年式車になればなるほど環境負荷低減性能は向上しているし、静粛性も向上しているのであまり気にならない。そのなかで、ある意味心地よいICE音を発生して街なかをよく走っていたのが、メルセデス・ベンツGクラスであった。歩道を歩いていて野太いエンジン音がして振り返ると、たいていGクラスであった。
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先日開催された上海モーターショー会場内のドイツ系ブランドブースでは、確かにBEVの展示が目立つのだが、メルセデス・ベンツブースではAMG(ICE車)も積極的に展示していた。メルセデス・ベンツは、2025年3月末から4月上旬にタイの首都バンコク近郊で開催した、バンコクモーターショー会場内ブースでもメイン展示はAMGモデルであった。ちなみに、BMWも改良版M4を壇上に置いていた。
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時間はどれぐらいかかるかはわからないが、電動化が進むなか最後まで残るICE車は高級ブランドの高性能シリーズになるのではないか……という様子を中国で見ることができた。つまり、ICE車は完全になくなるのではなく、高性能ICE車が最後まで残り、これを所有して運転するのは”お金もちの道楽”として残っていくかもしれないということだ。
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もちろん前出の上海モーターショーでも、キャデラックは自社BEV、「リリック」の高性能版である「リリックV」の中国生産版を披露したし、中国のシャオミも自社BEVの高性能版を展示するなど、電動車でも高出力&高性能版を熱心に市場投入しているので、お金もちのなかでもどちらを選ぶか選択はわかれるだろうが、実用レベルではHEVやPHEVという形でしばらくはICE車は残っていくだろう。
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しかし、このあたりは時間はかかるにしろ、最終的にはBEVに集約されていく流れが多くなるはずだ。純粋なICE車については、高級ブランドの高性能版として残っていくと感じた。
ICE車の運転は金もちのたしなみ……自動車という乗りものが世のなかに出始めたころの欧米のような風景が、別の意味で復活するのだろうか。