シングルターボよりツインターボのほうが格上? クルマのエンジン「タービンの数」で何が変わるのか

この記事をまとめると

■シングルターボは構造がシンプルでコストや整備性に優れる

■ツインターボは高出力と全域トルクを両立しやすいがコストが高くつく傾向にある

■技術進化により両者とも高性能化しており明確な優劣はない

タービンの数が増えるとなにが変わる?

 ハイパワーエンジンの象徴ともいえるターボチャージャーには、シングルターボとツインターボがある。文字どおり、1基のエンジンに1基のターボチャージャーを取り付けるのがシングルターボで、1基のエンジンに2基のターボチャージャーを取り付けるのがツインターボだ。

 第2世代スカイラインGT-RのRB26エンジンや80系スープラの2JZエンジンなどの直列6気筒エンジンや、R35型GT-RやRZ34に搭載されるVR系といったV6エンジン、BMW、メルセデスAMG、アウディなどのV8エンジンにはいずれもツインターボが多く、4気筒以下のエンジンだとシングルターボがほとんどだ。

 なんとなく数が多いほうが格上なように思えるかもしれないが、1000馬力級にチューニングされたRB26などは、シングルターボがけっこうメジャー。どちらにもそれぞれ利点と特徴があるので、それをおさらいしておこう。

シングルターボ

 小排気量車から大排気量車まで幅広く採用できて、構造的にもシンプル。部品点数が少ないぶん、コストも抑えられる。エンジンルームのスペースが狭いクルマにも向いている。

 チューニングカーでいえば、最高速仕様などの馬力優先のクルマはシングルターボを好む傾向があり、高回転域で伸びる気もちのいいまわりかたはシングルタービンならでは、と評価するチューナーも多い。

 その代償として、風量の大きいタービンをつけるとツキが悪くなり、低回転時のトルクは不足気味になりやすく、昔はドッカンターボのクルマが多かった。反対に、街乗りなどでも使いやすいコンパクトなタービンだと、高回転で頭打ちになるのがデメリットだ。

ツインターボ

 コンパクトなタービンをふたつ使うことでレスポンスがよく、トータルでの風量も増やせるので、高出力化も可能。低回転から高回転までトルクが継続するので、ドライバビリティにも優れている。また、V型エンジンや水平対向エンジンだと、片バンクにひとつずつターボをつければいいので、レイアウト的にもメリットがある。

 その反面、小排気量車には不向きで、排気量でいえば2.5リッター以上、気筒数では6気筒以上のクルマが適しており、部品点数も増えるため、コストはどうしても高くなる。また、場所も取るのでスペースが限られ、構造が複雑なのでメンテナンスも手間がかかる。チューニングしていった場合、ハーフスロットルで若干の排気干渉が出ることもあり、音のよさではシングルターボが勝るという意見もある。

 こうした基本特性はあるにせよ、いまはいいタービン、いい制御技術、いい補器類、いい周辺パーツがたくさん出ているので、排気量と気筒数の多いクルマなら、どちらを選んでもパワー、レスポンス、フィーリング、いずれもハイレベルに仕上げられるはず。小排気量向けのシングルターボも日進月歩で進歩しているので、どちらも甲乙つけがたいのが現状だ。


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藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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