アメ車らしさも残るなかで洗練された走り
しかし、実際にXT5を運転してみると、想像以上に小まわりがきくことに驚いた。ステアリングを切ると、「あれっ」というほど想像以上にタイヤが切れ込んでくれるのだ。昔のGM(ゼネラルモーターズ)車といえば、握りが細く少し径の大きいステアリングが特徴だったのだが、いまどきのGM車は径が小さめで握りも太めのステアリングとなっている。
日本国内でラインアップされているキャデラック車はBEV(バッテリー電気自動車)のリリックのほかはICE(内燃機関)車となり、XT4、XT5、XT6、エスカレード(唯一6.2リッターV8OHV搭載)となっている。このなかでXT5とXT6だけが計器盤がいまもなおアナログ式、つまり針となるスピード&タコメーターとなっている。一方、中国で販売されている2代目は「これでもか」とばかりに助手席側までディスプレイが続く、フルデジタルメーターとなっている。設計年次の古さはこのあたりで隠せなくなってしまっているようだ。
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アナログかデジタルかというのは個々でその好みは異なるのだが、やはりいまどき1000万円近いクルマでアナログメーターというのは少々寂しさを感じてしまう。
アメリカ車といっても、いまどきは5リッター以上のV8エンジンはOHC、OHV問わず搭載車種は極めて限定的となっている。そして、V6はさらに輪をかけるように減ってきている。そのV6エンジンをスタートさせると、アメリカ車らしいやや深みのあるエンジン音が伝わってきた。Dレンジにいれアクセルを踏むと、想像以上に軽やかに加速していく。
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昔から同系統のV6エンジンであっても、シボレーやビュイックなどに搭載したものはやや鈍重に感じたものだが、キャデラックチューン(?)になると軽快になるという流れはいまも変わっていないようだ。キャデラックの車名はいまアルファベットと数字の組み合わせが多いが、たとえばBEVの「リリック」はフランス語で冗談や洒落といった意味があるなど、フランス語に由来する車名が過去にも多かった。その名前どおり、乗り味もフランス車に近いソフトな印象が目立ち、ダラッとしていない独特の雰囲気を醸し出している。
1990年代ぐらいまでのオールドスタイルのアメリカ車では、「舟をこぐ」といった表現が似合うほど加減速時などは前後によく揺れたのだが、そんなオールドスタイルのアメ車のような印象もない。外で走り出すところを見ていると、エキゾースト音も心地よく、思わず聞きほれてしまった。
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