アメ車に乗ると「売れない理由」がジワジワ見えてくる! 起死回生を図るならBEVで心機一転イメチェンしかない!! (3/3ページ)

アメリカのクルマとはいえ中国製パーツの使用は免れられない

 XT5を停め、しばらくエクステリアを見ていると、ガラスの刻印が気になった。日本車などでは「AGC=旭硝子」というような刻印のあるところが、「FUYAO」となっていたのである。調べてみると、これは中国・福建省にある「福耀玻璃工業集団股份有限公司/FUYAO Glass Industry Group Co,. Ltd」という中国企業製のガラスだった。

 XT5では、リヤサイドとリヤガラスはプライバシーガラスとなっており判別できなかったが、フロントと前席サイドガラスはFUYAO製であった。ただし、フロントサイドの両側にあるクオーターウインドウには「SAINT GOBAIN」というフレンチブランドのガラスが使用されていた。「米中貿易戦争」などと最近は騒がれているが、対立相手の中国ガラスメーカーの製品をアメリカ車を代表するキャデラックが採用しているところを見ると、実際の話はそれほど簡単なものでもないことを感じた。

 そして、ボンネットを開けると「MADE IN MEXICO」という部品も発見した。メキシコとも当然ながら関税問題は存在する。ただ、GM(ゼネラルモーターズ)系自動車部品ブランド「AC DELCO」の部品やバッテリーが搭載されているのを見ると、「やっぱりアメ車なんだな」と妙にうれしくなってしまった。ラゲッジルームの床下には、「カリフォルニア州民向け」と英語で書かれた袋のなかに、盗難防止用のホイールナットが入っていた。日本でも使えればユーザーも安心することができるだろう。

 アメリカでの車両価格をみると、だいたいレクサスRXと同レベルとなる、BMWだとX3、メルセデスベンツだとGLCが該当する価格帯だ。

 乗ってみると、いま風のクロスオーバーSUVスタイルでFFベースと、ここだけ見ればレクサスRXとは変わらない。実際ステアリングを握ると「アメリカ車だなあ」と感じるのだが、そもそも日本人のほとんどはアメリカ車(しかもコテコテの)の運転経験がない。筆者の記憶もオタクとしてのものなので、はっきりいって信用度には「?」がついてしまうが、筆者のなかでは、「おっ、アメ車魂残っているな」と感じたのは確かであるし、これはXT4を以前運転した時には感じなかったものだ。

 日本におけるキャデラックは、イタリアやフランス車を軽く超えるような極めて趣味性の高いクルマとなってしまっているように見える。というよりは、インポーターはあえてそのようなモデルや仕様を日本国内に導入しているようにも見える。この流れはICE車だとなかなか変えることはできない。

 日本国内でのジープ・ラングラーの販売台数は、本国アメリカに次ぐ台数と聞いたことがある。あそこまで独特のオーラを発するキャラクターとなると、もはやアメリカ車かどうかといった話は関係なく受け入れられている。しかも、過去のアメリカ車のネガティブイメージをもたない若い世代が好んで乗っているというのも興味深い動きとなっている。

 筆者は、「シン・アメリカ車」としてBEVの存在は極めて大きいと感じている。テスラはすでにアメリカ車というイメージがないなか、スンナリ世界市場に受け入れられている。キャデラックではリリックが日本でも発表となったが、ICE車は別として「BEVブランドでございます」とどこまで新しい風を日本に入れられるかで、古いイメージがいつまでもついてまわるアメリカン3(旧ビッグ3)ブランドであっても、十分大化けするポテンシャルはもっているものと考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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