この記事をまとめると
■中国では乗用車の多くに欧文車名と中国語(漢字)車名がある
■中国語車名は当て字の場合と欧文車名の意味を漢字にして使う場合がある
■最近の中国では欧文表記の車名やブランド名が目立ってきている
漢字を見て車名の意味を知ることもあった中国語表記
中国において、乗用車の多くは欧文車名のほかに中国語(漢字)車名というものをもっている。中国メーカー車も基本的には欧文車名と漢字車名をもっている。これはメーカー名などでも同じであり、いまや世界的にBEV(バッテリー電気自動車)メーカーとして有名となったBYDオートも「BYD AUTO」は欧文社名となり、漢字社名「比亜迪汽車」の「比亜迪」に読みが近いということで「BYD」となっている。ほかにも吉利汽車はジーリー、奇瑞汽車はチェリーと、この辺りも読みが近いものを欧文社名として使っている。
ちなみに外資系ブランドの漢字表記ではマツダは「馬自達」、スバルは「斯巴魯」、GM(ゼネラルモーターズ)が「通用」、フォードが「福特」、メルセデス・ベンツは「梅賽徳斯弁馳(現地生産モデルの漢字プレートは北京メルセデスベンツを略して、北京弁馳となる)」、BMWは「宝馬」、アウディは「奥迪」、VW(フォルクスワーゲン)は「大衆」、キャデラックは「凱迪拉克」、レクサスは「雷克薩斯」、フェラーリは「法拉利」、ランボルギーニは「蘭博基尼」となっている。
BMWのエンブレム画像はこちら
車名に関しては、ここのところアルファベットと数字を組み合わせたものが、外資・中国メーカー問わず目立ってきているようにも見える。欧文車名と漢字車名を用意する手間を省く意味もあるのかとも考えている。中国車ならば海外展開が増えてきていることもあるのかもしれない。
読みが近い欧文を車名にするのならいいのだが、欧文車名の意味を漢字車名に使うというのが過去には結構ポピュラーであった。いわゆる当て字としては、トヨタ・カムリは「凱美瑞」やカローラが「卡羅拉」などを例として挙げることができる。
カムリの漢字表記車名画像はこちら
2025年4月末から5月上旬に開催された、上海モーターショー(上海国際汽車工業展覧会)会場内フォードブースに行くと、欧文車名の意味を漢字車名としているモデルを多く見かけた。
まず、「烈馬」はブロンコとなり、「鋭角」はエッジ、そして「探検者」はエクスプローラーとなる。また、今回は出展していなかったが、スバル・フォレスターは「森林人」と非常にわかりやすい漢字車名となっている。
フォード・ブロンコの漢字表記画像はこちら
漢字文化圏である日本に住む人であれば、中国のオートショーで漢字車名が当て字なのか、欧文車名の意味なのかを見て楽しむこともできる。また、普段あまり意味は気にしないで使っていた欧文車名の意味を、中国のオートショーでの漢字車名でなるほどと思うこともある。
筆者が初めて中国のオートショーへ出かけたころには、オートショーの会場内における中国メーカー車は漢字車名のみも多かったが、ここ最近は欧文表記の車名やブランド名が目立ってきている。時代の変化とともに、なかなか漢字表記することが難しいものも出てきているし、都市部ではネイティブな英語を話すことができる若い世代も日本とは比較にならないほど多いことを考えても、世代交代が進み欧文表記をそのまま受け入れられる社会になってきたということなのかと筆者は感じている。