この記事をまとめると
■3列シートSUVは多人数乗車とアウトドア性能を兼ね備えるが実用性には注意
■快適なサードシートを求めるなら必然的にラージサイズSUVが現実的な選択肢となる
■乗降性と居住性がともに優れている6人乗り・キャプテンシート仕様がイチオシ
SUVにサードシートが備わるからといって決して万能選手ではない
3列シートの多人数乗用車はミニバンだけというわけでもない。実際、いま大人気のSUVにも3列シートモデルが少なからず存在する。荒れた路面や雪道を走る機会が多いユーザーにも向くSUVのオールラウンダーとしての走行性能と、2列シートSUVでは叶わない6~7名の乗車の両方が得られることになる。
が、最初にいっておくと、ミニバンのサードシートのようなゆとりある空間や足もとスペース、シートのかけ心地を3列シートSUVに期待してはいけない。ミニバンのパッケージはキャビン優先で、ラゲッジルームの奥行きがミニマムとなるかわりにサードシートの空間を確保しているのだ。一例を挙げると、トヨタ・アルファードでさえ180mm~。三菱デリカD:5も160mm~となっている。
トヨタ・アルファードのラゲッジルーム画像はこちら
しかし、アウトドアユースなどをにらみ、ラゲッジルームの容量や荷物の積載力にこだわるSUVはそうはいかず、ほとんどのサードシートは子ども用、あるいは緊急席として設計されている。
たとえばメルセデスベンツのGLBのサードシートは、「身長168cm以下を推奨」といったように、メーカー自らが「それほど広くはありませんよ」と明言しているほどなのである。
メルセデス・ベンツ GLBのサードシート画像はこちら
では、大人でも無理なく着座できるサードシートを備えたSUVはどれか、ということになると、率直にいって車体の大きいモデルに限られる。すなわちミドルサイズでは厳しく、ラージサイズのSUVの一部ということになる。
具体的には、日本車ならばマツダCX-80だ。ボディサイズは全長4990×全幅1890×全高1705mm。ホイールベース3120mmと、かなり大きい体躯だから「まとも」なサードシートが成立する。前身モデルであるCX-8も、身長172cmの筆者はサードシートにかけても不満なくドライブを楽しむことができたのだが、CX-80ではさらに足もと空間が広がり、サードシートが一段と使える希少なSUVとなっているのだ。いい方を変えれば、国産SUVでもっともサードシートが広く使えて、シートのかけ心地にも不満がない1台なのである。
マツダCX-80のサイドビュー画像はこちら
また、トヨタ・ランドクルーザー300も、床下収納式になるものの、頭上、膝まわり、足もと空間はしっかりと確保されていて、海外需要もあるためか大人でも実用的に使えるサードシートとなっている。そのボディサイズは全長4950×全幅1980×全高1925mm。ホイールベースは2850mmとなり、やはり日本車としてはかなり大きい部類になる。
トヨタ・ランドクルーザー300のフロントスタイリング画像はこちら
日本車でサードシートが真っ当に使えるモデルはこんなところ。結局のところ、ボディサイズ、ホイールベースに余裕がないと、サードシートの居住性は「緊急席・子ども用席」となってしまうのである。